新物好きの娘 ～天然母は今日も今日とて己の感性で世を生きていく～

はじめに

　結論から言おう。

　この話は、筆者の母の生態日記である。

　というのも、筆者の母というのがなかなか面白い人間だ。

　一言で言えば、国宝級の天然記念物である。

　おいおい母の生い立ちについては気が向けば書く時が来るだろうが、簡単に言うと20年間嫁入り先に騙され続けたことに気が付かずに波乱万丈な結婚生活を送り、その後、運の流れに任せて無職主婦がローンを自力で借りてきて新築分譲マンションを購入し、現在進行形で悠々自適な隠居生活を送っている50代である。

　情報量が非常に多いが、まあそんな人なのだ。

　そんな母は、新しいものによく目をつける。

　いわゆる、新物（にいもん）好（ず）きなのだ。私の生まれた故郷で、いわゆる「ミーハー」のことをこのように言った。

　何か世の中にあるふとしたものに目をつけて、興味をもっては自分の身体を使ってそれらを実体験する。50代に差し掛かった女性とは思えないほど、本当に様々な物事に対して勉強熱心なのだ。

「私が目につけたものってねぇ、必ず流行るのよ。」

　確かに、母がハマったものは数年経ってからテレビで取り上げられたりした。

　ドイツの靴メーカーのFinn Comfortや、SHARPのホットクックなんかがその類だ。

　嘘だろうと思うかもしれないのだが、娘である私も嘘だろうと思っていた。だがしかし、「なんだこの人やべぇな」と、思ったクチである。

　そんな母がこれまで一体何に目をつけて、どういう結果を持たらしてきたのかを徒然なるままに書いてみることにした。