第14話 実習

 教育実習は、緊張感も徐々にとけて、楽しかった。ネクタイを締めて1日いるのは、肩がこったけれど、放課後、テニスコートで後

輩たちと汗を流せた。大変だったのは授業案。部活がおわってから図書館でパソコンに向かうけれど、なかなか書けない。あきらめて帰ろうとすると、三田先生が現れた。

「授業案、書けてる~?」

「三田先生~。よかった~。もう、全然書けなくて困ってました。」

「テニスとは勝手が違うわね。じゃあアドバイスしてあげる。行こ!」

「え。どこへですか。教生は6時半までしかいられないんですけど。」


 1時間後、僕は、三田先生とファミレスでタブレットで授業案をつくっていた。

「ここはね。生徒の予想を適当に書けばいいの。こんな子いるなあってね。」

「そっか。なるほど。」ありがとうございます。」

「いつでも相談に乗るわよ。」

ああ、先生といい感じだ・・熱に浮かされた。

「先生、僕、先生にずっとあこがれてたんです。中学の時から一目ぼれで・・。だから、青光に来た時、すごくうれしくて。先生のこと大好きだったんです。」

 うぁ、言ってしまった・・・。

「ありがとう。先生として、と受け取っておくわ。嬉しいな。」

 ついに気持ちを伝えられた。夢でも見てる気分だった。


 3日後、部活終わりに三田先生に声をかけた

「来週、最終の授業案を出すんですけど、相談に乗ってもらえますか。単位かかってるんでちょっと難しくて。」

「あ、ごめん。今日ね大学の友達と約束あってね。とりあえず自分でやってみて、明日見せてもらうわ。」

「分りました・・・。」

 調子に乗っちゃったな。よし、またファミレスで。作業を終えて繁華街を抜けて駅へ向かう途中、前を男女が腕を組んで歩いていた。

 女性は、三田先生だった。なんだデートだったんだ・・・。ん。彼にしては年齢が高くなくないか?フラフラと後をつけてしまう。


 男性が三田先生の腰に回した手の薬指に指輪が見えた。2人はホテル街へ消えていった。いくら晃輝でも、それが何を意味するか、分かった。


 


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