第8話 新任

「おい、あの新しい英語の先生、中学時に教生できた三田先生だよな。」

亮が、話しかけてきた。

「うん。そうだね。」

「テニス部の顧問もやるって言ってたな。」

「そうだっけ?」

興奮を悟られないように、必死でとぼけた。


 昼休みには亮は情報を仕入れてきた。

「大学を出て、都立の桜台に努めたんだけど、わが校に英語の欠員が出て、うちの女子テニス部は強いだろ。それでOGの三田先生にオファーしたらしい。ちなみに俺たちのクラスは担当しない。まあ3年だからな。」

「ふ~ん。そうなのか。」

あくまでポーカーフェイスを装う。


 放課後部活の最初に、男女合同でミーティングがあり、顧問の手塚先生から

「三田先生が顧問に加わるのは聞いたね。女子がメインだが男子を見てもらう時もある。」

 さすがに部活中は先生を見てる暇もなかったが、部活終わりに碧が興奮気味に話してきた。

「すごいよ~三田先生。ぜんぜん相手にならなかった。けど、いいアドバイスもらった。私、また試合してもらってインターハイ目指す!」

「さすが、インカレベスト8だな。」

「そう。ん?何でそんなこと知ってるの?」

「ああ、いや、亮が言ってたようなぁ・・」

「怪しいなぁ」

 

 僕の心は、また三田先生に奪われそうだ。

 

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