第15話 解読

あまりに難解な筆跡で、解読に苦労した。山道に現れた立て看板。近隣の言語ではなく、鳥や獣の言葉でもない。複数の学者達が別の紙などに書き写そうとしたけれど、文字は書いた端から消えてしまう。観光客まで物見遊山でやってきて、辺りはすっかり賑やかになり、峠の茶屋までできてしまう。岩山の天辺は憤慨した。「もう、来ないでって言ってるのに!」とどろいだ声は反響して、人々には意味がよく分からない。大きな岩を生み落とすのに、静かな環境がよかったのに。立ち入り禁止の立て看板をしたらいいと教えてくれた旅人のことを恨んで、岩山は通りすがりの旅人達を次々と食うようになった。

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