重度のコミ障がヒーローやっていて、その正体が好きな子にバレたら、青春がはじまったけど、何で?

@neemuumin2021

第1話

 放課後の生徒会室に美少女と二人っきりでいる。


 全国60億人の男子高校生たちにすると、羨ましい状況なのだと思う。


 うん? 60億人も男子がいたっけ?


 まあ、それすらわからなくなるほど、僕の頭は困惑している。



時田ときた みつる君…… アナタ、コールマンなのでしょ?」



 亜麻色の髪をした美少女が、険しい顔で僕に問い詰めてきた。


 彼女は光圓寺こうえんじ 麗子れいこさん。


 ストレートロングの髪はつやつやで滑らか。


 肌は白く傷一つもない。


 見目麗しく学年一の美少女だと噂されている。


 おっぱいは小ぶりだけど、それでも彼女の色香は他の女子よりも群を抜いている。



 成績優秀。運動も得意。1年生ながらも生徒会の役員。


 お金持ちのお嬢さんらしく、ではおしとやかだ。


 そんな完璧な彼女は僕のクラスメイトであり、そして僕のでもある。



 そう、彼女が問い詰めている『コールマン』の正体は僕なのだ。


 だけど、それを明かすことはできない。なぜなら――



「ぼぼぼぼぼぼきゅぼっきゅんぼぼ僕は、そそっそそおおそそそのおおお」



 どもり過ぎな僕の言葉に、光圓寺さんの顔には?マークが浮かんでいた。


 わざとじゃないんだ。僕は重度のコミ障で、しゃべろうとすると緊張し過ぎてこうなってしまうんだ。


 そんな情けない男が正体だなんて、好きな子にはバラシたくない。


 コールマンに好意的な光圓寺さんをがっかりさせたくない。



 だから光圓寺さんには、コールマンの正体が僕だって明かせないんだ。



 その後もどもり過ぎて、意味不明なことを吐き続けてしまったけど、光圓寺さんは静かに僕の言葉を待ってくれていた。


 短気なのに、こういう優しさが好きなところなんだよな。



コココッケコッココールルルウウッツルマンコールマン? しししっしし知らないデビュ!」


「うん、そう。わかったわ…… アナタにも事情があるでしょうし……」



 光圓寺さんの最後の言葉は小声で良く聞こえなかった。



「時間をとらせて御免なさい。気を付けてお帰りなさってね」



 僕は正体をバレずにすむ喜びで、光圓寺さんがどんな表情をしていたか確認せず、生徒会室から急発進で飛び出した。



「絶対、正体を言ってもらうわ、時田君……」



 だから、そんな光圓寺さんの言葉も聞こえなかった。




 そうして走って玄関にたどり着き、さあ帰ろうと思った瞬間、腕のブレスレットが光る。


 

 規則正しく点灯を繰り返すのは、緊急のコールサインだ!



 セイバイタン星人め…… また現れたのか!



 靴を履き、慌てて人のいない校舎裏へと走る。


 左右に首をふり、念のため上下も見渡して、誰もいないことを確認。


 ブレスレットをした腕を高く掲げ、僕は叫んだ!



チェチェテエエエエェンジ!チェンジ! ココココオオオウオウウルマン!コールマン!



 変身の掛け声もどもって締まらないけど、本当の僕はこれからだ!

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