第1話

私はこの学園が大嫌い


いつも通りに授業を受ける

でも、劣等生で落ちこぼれな魔法使いの私は魔法の授業でも魔法専門じゃない子よりも叱られている


「ねぇ、またあの子だよ。」

「あ〜ね。あたしら、魔法専門な訳じゃないのに出来てんのにね」


まただ


今日も俯きながら先生に当てられませんようにと願いながら授業をやり過ごした




この学園に入学してから早3ヶ月

成績はクラスどころか学年の中でも最下位、実技も筆記もこぞってダメ


学園の寮に戻り、1人になったところでもうダメかもしれないなと思った


私にはここは向いていないみたい

こう思った時には自然に身体が動いて本棚に向かう


昔、お母さんに貰った本を取り出した


「人間界とは」


何回も何回も読んでもうボロボロになったその本には人間界という場所について書かれてあった

スマホもパソコンもあって動物や植物がいる

魔界と同じようで変わらない場所


唯一の違いは魔法が存在しないこと

戦士、治癒士なんていう役職も存在しないみたい


ずっと行ってみたかった世界



もう、魔界は疲れた



私は、スマホとかお金とか杖とか、最低限のものを持ってこっそり寮を抜け出した

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