【CVC(集団的虚像創作)】悪龍討伐【短編】

@izo-nagakuwana

悪龍討伐

【折れた騎士の直剣】

 刀身の折れた騎士の直剣。悪龍を討つべく、教会は聖女とともに騎士を派遣した。

 汚れ仕事など、今に始まったことではなかった。

 聖龍など夢物語でしかなかったのだから。

 

【聖女の杖】

 聖女の杖。組み込まれた魔力結晶は今も輝きを失うことはない。

 穢れを払う癒やしは、ときとして毒になる。

 それでも、唯一の友を失うことなど出来るはずなどない。

 執着もまた毒であり、そして穢れの始まりだとわかっていても。


【悪龍の鱗】

 赤黒い出来損ないの悪龍の鱗。

 高濃度の魔力を帯びた鱗は廃屋の方々に落ちている。

 廃村を跋扈する魔物たちは、それぞれ決まって同じ廃屋に帰っていく。

  

【聖龍の彫像】

 伝説上の聖龍を象った像。

 遙か深い地中に眠る巨大な龍の骨を彼らは聖龍と名付けた。

 大量の魔力結晶によって形を成していたその龍はかつて、悪龍を滅ぼした聖なる龍の名を授かるに相応しい神々しさを放っていた。


【聖龍派のブローチ】

 聖龍派の一員であることを示すブローチ。

 救世の龍はついぞ現れなかった。

 故にこそ、救世を得んがために、人の身で救世の龍になるべきなのだ。

 災厄を退け、泰平と楽園を築くものは神の御遣いたる人を差し置いて他にあってはならないのだ。

 決して、巨大なトカゲであっては、ならないのだ。


【魔力結晶】

 高濃度の魔力を含む結晶石。

 魔力蟲の幼体は生物に寄生すると、大気中の魔力を取り込み、宿主に高い魔力と不死に近い生命力を与える。

 そして、宿主の体内で成体になった魔力蟲は宿主の肉体に卵を植え付ける。

 高濃度の魔力を獲得した宿主の肉体は分泌液によって変質し徐々に結晶となる。

 いつか魔力蟲が孵化したときの養分となるまで。

 

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