最後の手紙

@gfdlove

第1話




「あなた…調子はどう?」


「ああ、今日は少し調子が良いみたいだよ。ありがとう、遥香。」


40年間もの間…俺に寄り添い尽くしてくれた妻が、花瓶に生けてある花を替えながら尋ねてきて…


俺はベッドの上でそれに答えた。


「なぁ、それ…何て花だっけ?」


「えっ、あぁ…うん、ガーベラよ。黄色とオレンジで少しでも元気出るかなって思って。」


そう言って、儚げに微笑えむ遥香を見て…俺の胸がズキっと痛みを覚えた。



「そうだな…うん、綺麗だな。」


そう口にしながら…窓の外を眺めると雲一つ無い青空が広がっていて、


まるで今の俺の心みたいだなって思った。



「明日はお休みだから、香織も憂也も子供達を連れてお見舞いに来るって…さっき連絡があったわ。ふふっ、みんな…あなたに会えるのを楽しみにしてるって。」


「そうか。ああ、嬉しいな。」



多分…俺の人生は幸福だったのだと思う。

遥香と2人で協力して、2人の子供をしっかりと育て上げるコトが出来た。


孫にも恵まれて…こうして見舞いに来てくれようとしてくれる。





自分の身体のコトは…自分が一番よく分かる。


きっと…明日の今には、俺はもうこの世にいないだろう。


だから…今夜、妻に手紙を書こうと思う。







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