第18話 デート

そういえば、家やホテルで会うことが多かったから、

二人でお出かけデートは久しぶりかも。


前回は「ぽんぽこー!」の掛け声のお好み焼き屋さん?

ちょくちょくちょっとしたお出かけはしてるけど。


○○ちゃんは、あの時思っていたより奔放で前向きかもしれないと思う。



この日は、一度別れて、私が大学の講義を終えてから合流。

午後から一緒にアサヒビールの工場見学へ。


○○ちゃんは、

「飲み比べ!飲み比べ!」とはしゃいでいた。


---


順路に沿って進んでいくとたくさんビールの豆知識が書いてあった。

ガラス越しに、実際の製造ラインを見られるエリアもあった。

特に缶ビールが次々と梱包されていく工程には、ふたりで大盛り上がり。


「大量の、大量の缶ビールが…!」


○○ちゃんの反応が可愛くて、思わず笑ってしまう。


ただ楽しくはしゃいでいる中で、

順路を進んでいる途中、ずっと気になっていることがあって…


正直、○○ちゃんが腕をぎゅっと組んでくるので、ずっと胸が腕に当たってる。


「デートなのに、こんなこと考えて最低……」

心の中の自分が、私を責める。

でももうひとりの自分が言う――

「いや、さすがにこれはわざとじゃない?」


そんな風に考えてしまう自分に戸惑いながらも、

「せっかくのデート、上の空じゃもったいない」って気持ちが勝って、

なんとかそのまま楽しく最後の飲み比べコーナーへ。


ビールの良さは私にはまだ分からなかった。

○○ちゃんは、


「うーん…これはこれで!」

「いや、こっちもなかなか」

なんて言って楽しそうに飲んでいた。


何だかんだ全部好きなんだから、どれも一緒じゃない?

と思ったけど、それはちょっと雑すぎるかなと思って黙っておいた。


---



工場見学が終わってから、○○ちゃんの家に帰ってきて、

玄関を開けて、靴を脱いだところで、もう抱き着いてしまった。


「いい?」


耳元で短く確認してから、キスをする。

やばい、止まらない。


「なになに、どうしたの?」


静止されて、言い訳する。


「だって、○○ちゃん、ずっと胸当たってたし…」

「あの、工場見学中も、他の見学の人が見えるころにいないからって!」


あ、ちょっと語気が強くなっちゃったかも。


「ずっと胸当たっててムラムラしちゃったの?」


うわ、言葉にされると馬鹿みたいで恥ずかしい。


「……うん」


「ねぇ、それ、わざとだよ。」


耳元で囁かれて気持ちよさで意識が飛びそうになる。

囁いてすぐキスをされた。

○○ちゃんからキスされたのは、意外にもこの時が初めてだった。


「もう、滅茶苦茶にしたいよ」


○○ちゃんは短く「いいよ」と返事をしたのだった。


ちょっとだけ、待てをされてる犬みたいな気持ちになった。


---


結局この日も致してしまい、やり目みたいに思われたら嫌だなと思った。

会うたびにそういうことになってる気がするし…。


それに興奮状態で衝動的に行為をした時は、上手くできたかわからなくて不安だ。

嫌じゃなかったかな…。






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