彩心(さいしん)

ジャイキンマン

1.プロローグ

 私はある村で海の近くにある図書館で司書をしている。この図書館は古今東西の本が一挙に集まっており、村で一番大きな建物となっている。そして、新しい本が配流となると増築までされるからか、図書館周辺には民家すら建っておらず、殺風景だ。

 私はアルビノ体質でもあり、髪が長くもあるからか、村の人達に気味悪がられている。暗い性格故に気味悪がられている小都に関しては被害妄想をしているだけかもしれないが、避けられていることは確かだ。

 そんな私だが、生まれつき、というよりは物心がついた時から特殊な能力がある。それは、人の心の色が見える能力と幽霊が見える能力だ。

 人の心はガラスのハートの器の様で、人によってその中に入っている液体の色が違う。私はそれを「心の色」と、勝手に呼んでいる。

 マゼンタは体育会系の人間、黄色は文系の人間、思案は理系の人間と思っている。黒色と白色は、黒色がどんな人とも話せる社交的な人間、白色は人とあまり関わらない内向的な人間だ。

 黒色の心の色の人はおそらく、様々な人と関わっていくうちに色が混ざってそうなったのだろう。白色の心の色の人は、人とあまり話さない。それによって独自の世界を形成していて、それを自由に描ける白色の心になっている、と、私自身思う。私の心の色は、白色だ。

 感情によって色が変わる上にその他にも色があるが、大まかに言うとこの五色だ。

 心の色は嘘偽りなくその人を表してしまう。その人がどんなに『理想の自分』を装っていても、どんなにいい人でも。

 幽霊が見える能力を自覚したのは、私の祖父が死んだ日だ。

 私の祖父の葬式で、私は半透明な祖父の姿が見えた。私にしか見えていなかったと思う。その時に自覚した。

 幽霊はこの世に未練があるほどに透明度が低く、普通の人と見分けがつきにくい。

 私はそんな能力を持っていても暇だった。私の勤める図書館には人があまり来ない。その事もあって、退屈な日々を送っている。

 しかし、そんな退屈な日々が裏返った時期もあった。

 ちょうど、今日みたいな快晴の夏の日には思い出す。あの『少年』との夏の日の思い出を。

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