宮廷魔術師は解雇された 〜1か月の猶予をもらいましたが、上司とかのせいで結果が出せなかったので、冒険者になります~
天使の羽衣
第1話神域に選ばれた魔術師、仕事は雑用係でした
「お前は、立派な宮廷魔術師になれる」
頭を撫でられながら言われた。私は、まだ三歳という幼さだったためその言葉の真意はわからなかった。
そして、誰が言ってくれたのかもわからないが私の目標は『宮廷魔術師』になることが夢になっていた。
毎日毎日勉強や魔法の使い方を研ぎ澄ませていった。
ー10年後ー
私は晴れて、宮廷魔術師。別名『神域』とも言われる。
その代のもっとも優秀な成績を収めたものとして一位合格を果たした。
合格したときは、今までの努力は無駄ではなかったと思った。
だが、実際の神域の業務内容は全く違っていた。
毎日紙とにらみ合いっ子しながら印鑑を押したり押さなかったり。
他の合格したものの中で一番私が最年少だったためすべての雑務を断ることができなかった。
宮廷魔術師に選ばれるには、膨大な魔力と練磨された技術、さらに過酷な鍛錬が必要だ。
その条件を満たす者は、毎年わずか十名ほどしかいない。
その10人を一般的にはこう呼ぶ『神域』と。
なのに、私は『神域』のメンバーに入れたと思ったらこんな雑務しかやらしてくれないなんて……魔法の腕がなまるなまる。
魔法に憧れ、血をにじませて手にした“神域”の称号。
なのに、今の私は紙と印鑑に支配されている。
「また雑用か……」
叫びたい気持ちを押し殺し、私は書類の山に手を伸ばした。
書類の山が、静かに私の自由を押し潰す。溜息すら、紙に吸い込まれて消えた。
これが“選ばれし者”の仕事? 冗談じゃない。けれど、私が声を上げた瞬間——全てを失う。
神域の席は、表向きは「実力主義」。
でも、実際はどうだろう? 私は知っている。
政治、家柄、そして……運。才能だけで生き残れる世界じゃない。
しかし、その入れ替わりでも何年も居座り続けるものがいた。
そのものの名前はアイリス・クライ。
幼くして宮廷魔術師の試験に合格し、なったあとも鍛錬を欠かさずにやっていたため何年も居座ることができた。
こんな過酷な職務をこなしながら鍛錬していたとは私は到底思えなかった。
私が入ったときには、アイリスは入れ替わっていた。彼女のその後は誰も知らなかった。
アイリスは私よりも幼く合格して何年もの間在籍していたためおおよそ考えられる
。私と同じで神域メンバーから雑用扱いされていたのだろう。神域メンバーの大半は男しかいない。女は合格できないものだと思われていた。それもあって合格されたのが嫌な男は私達女に対して雑務を要求する。
そして、私達はそれを断ることができない。
魔法で、倒しちゃえばいいと思うこともあるが実際には魔法で攻撃した瞬間に神域メンバーの資格は剥奪される。
私はあの時、手を出した。魔法で。
結果、親友は姿を消した。
だから今、私は動けない。
そんな状況をなんとか改善したいと思っているが……なかなかいい案が思いつかないのが私だった。
仕事を切りの良いところでやめ私は部屋の外に出た。
ー厨房ー
普通ならば、メイドなどつくのだが平民上がりの私にはメイドなどの生活補助役はいなかった。
昔から身の回りのことを自分でしてきた身としては全然苦ではないことであった。
厨房に近づいてくる足音がした。
誰だろうと後ろを振り返るとそこには小さな子どもがいた。
正式には、アルフレンカ第一王子だった。私は優しい声で話しかけた。
「何やってるの?」
「うーん……休憩かな?」
「きゅうけい!!」
アルフレンカ殿下はとても可愛らしい。
私の仕事の休憩のときに毎回どうやって来ているのかわからないが私の場所を探し出して必ず顔を出してくれる。
まだ幼いので何もかも理解していない……周りに愛嬌を振りまいているだけで彼はとても可愛いのだ。
とろけ顔の私のところへもう一人誰か来る気配があった。
顔を平常心に戻して待ち構える。
入ってきたのは、現王様の妃ミレイア様だった。
ミレイア様を見て私の背筋は凍った。
ミレイア様はアルフレンカ第一王子のことを溺愛しており誰かが接しているのを見るとものすごく怒るなどと噂話程度で聞いたことがあった。
常に気を張ってミレイア様が出ていくのを待っていると……
「お母様〜」
アルフレンカ殿下の優しく幼い声に私は顔がとろけないように御二方が退出するのを待っていいるとミレイア様は私を見ていった。
「あなた、神域のメンバーよね?たしか……」
「フランといいます」
「そうそう……思い出したわ。首席の子よね、頑張ってね」
ミレイア様は優しい笑みをこぼしながらアルフレンカ殿下を抱きかかえてその場を去った。
私は、御二方が去ったのを確認して緊張が解けた。
「頑張ってね」——その微笑みは、暖かさと冷たさが混ざっていた。
あの笑顔。
優しくて、少し哀しげで……怖かった。
私に期待しているのか、それとも——試しているのか。
噂では傲慢とされる妃。けれどその目は、何かを探るように私を見ていた。あれは……ただの励ましだったのか?
あまり深く考えても今に私にはあまり関係がないことだった。
私は、お茶を入れて自室に戻るのだった。
私は、いつの間にか眠っていた。
深夜まで書類とのにらめっこだったため深夜の記憶は遥か遠くに飛んでいた。
椅子から立ち上がり背伸びをした。締めていたカーテンを開けて朝日を浴びる。
こんな生活を神域メンバーになった当初からやっている……慣れというものは怖いものだ。
すると、私の部屋の扉が開いた。
いつも通りあのクソな男連中だろうなと思いながら振り返るとそこには剣士神力団団長のアルペリア・ミーサカットがいた。
あまり得意な男ではなかった。
その男は低い声で言った。
「フラン・アリシタント。王様からの招集だ」
「……え? 今、なんて?」
思考が凍りついた。まさか、私が――?
****
※この物語は不定期更新です。次話の執筆も進んでいますので、気長にお付き合いください!
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次回は七月下旬ごろ投稿できるように頑張ります。
反応がよかったら少し早く投稿するかもしれません。
『追放されるまでの1か月を、あなたも見届けてくれますか?』
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