識ってはいけないもの
必死の
しかし、その切先に力は無い。
ただ恐怖に憑かれ、
これを意に介さず、
嫌な予感。 心臓が早鐘を打った。
それを言うな。
その言葉だけは、決して口にしてくれるな。
「さもなくば……、一族郎党 根絶やしにしてくれる」
悲鳴が上がった。
耳を
それに
涙が出た。
あらゆる負の感情が、一気に襲いかかってくるようだった。
知らず知らず、拳を固く握り込んだ
これが、これが憎悪かと、私はその時初めて、この胸に
同時に、あの人影の正体も。
あれは言わば
“こうしたい” “ああしたい”
その人物が生前に
“こうしたかった” “ああしたかった”
ただただ、“果たせなかった”欲望が独り歩きした化物。
「姫さま! 姫さましっかり……っ!」
「あぁ………ッ、あぁぁぁぁぁぁ!!」
こうしたかった……、だって?
あの妄念の
本当に、こんな光景を心から願う人間がいるのか?
分からない、分からない。
そんなの、人間じゃない。 人間であっていいはずが無い。
助けたい。助けなきゃ。
本当に?
それが今、本当に私のしたいこと?
「あ……、ちが……う………?」
ふゆさんが泣いている。 泣き叫んで、お父さんを呼んでいる。 お母さんに助けを求めている。
なのに
あいつ……、あいつ………ッ!!
そうだ……。 そうだよ。 そうだった。
赦せない。
私が、いま一番したいこと。
赦せない赦せない!
私は、この手であいつを
「……………っ?」
唐突に、後頭部をポンと軽く
顔を上げる。
よほどヒドい顔をしていたのだろう。友人は眉を八の形にして苦笑いを加えたのち、まるで
「ごめんなさい……」という、彼女らしからぬ頼りない
「あ………?」
いやそもそも、そのどす黒いモノの正体が、今となっては判らない。
ただ、得体の知れない
幼なじみの二名は……、大丈夫だ。
こちらを心配そうに見つめている。
ふゆさんと束帯姿の少女もまた、同じように私の顔を覗き込んで
「え……?」
これは、どういう事だ?
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