第5話 神速のジェット

――ガゴォォン


空が光り、轟音が鳴り響く。


「うわぁ!?びっくりした……!」


「そんなんでビビるなよ、零」


今日もいつもの様に雷鳴が鳴り響く。


「おい……零……!」


「ん?なんだマックス」


久しぶりにマックスが話しかけてきた気がする。まあ出会って2日しか経ってないけどね。


「神崩しが……来る」


「なに……!?」


その瞬間――

身体中に電撃が走る。


「何ィィィィ……!」


「(俺たち……死ぬのか……?)」


それは一瞬の出来事だった。

何が起きたのかわからなかった。

ブラックアウト寸前の視界には、2人の人影が映った。


――バサッ


「やったな、さすがはリージスだ」


「いや、お前のおかげでもあるぞクルード」

____________________

リージス、神崩し7位

電気を操る能力を持つ。


グルード、神崩し6位

天候を操作する能力を持つ。

_____________________


「さて、シュートを切るぞ」


――ガシュッ


リージスの肩を掠める。

途端、肩から大量の血が吹き出す。それは世界も捉えることが出来ない素早さでの攻撃だ。


「な……何ィィ!?」


「リージス……!?」


____________________


「大丈夫か……?零氏」


その言葉に、意識が戻ってきた。

聞き馴染みのあるアホっぽい声。


「ほ……焔か……」


雷電焔らいでん ほむら、俺と同級生で同じ部活の奴だ。助けてくれたという事は焔にもデウスが現れたようだ。


「全く……雷に打たれるとは情けねーな!」


「馬鹿が……雷に打たれたんじゃないんだよ……!」


「へへっ!そんなのわかってるぜ!」


と言うと焔の体から煙が上がる。

その姿はまるでジェット機の様な腕、赤い眼差し。


「俺の神速ジェットがお前らをぶちのめしてやるぜ!」


ジェットが落ちていた石に触れると勢いよくリージスに向けて空気を裂くように吹き飛ぶ。


「グハッ……!?」バサッ


「リージス……!?大丈夫か……!?」


その石はリージスの腹部を貫き、雨を濁らせる。


「貴様……!名も知らぬ神格者ヘヴンよ……!」


「貴様らには屈辱なる死で罪を償ってもらうぞ……!」


天空破光スカイブルーム


グルードが手を空にかざすと、天候が急変した。雲が集まりどんどん色濃くなっていく。


「今度こそ死ね……!死に損ないがッ……!」


「マックス……!」


空気が揺らぐ、その一瞬の出来事だった。マックスの拳がグルードの腹部を捉える。即座に空が晴れ、太陽光が降り注ぐ。それも0.1秒の間に起こった出来事だ。


「これ……が……マックス……」


「世界は……俺を否定……するのか……」


グルードはそう言い残し、散って行った。それは俺らを悪人と言わんばかりに。


「へへっ!俺に勝負を挑んだのが一番の敗因だな!」


「勝負を挑まなかったら負けなかったのにな……!」


背後から戒の声が聞こえる。

そういえば戒も雷に打たれてたんだったな。


「それにしても……焔もデウスが現れたんだな!」


「零……ヘヴンという言葉に心当たりはあるか?」


戒が俺の話を遮るように聞いてきた。ヘヴン……さっきの奴が言っていたな。そんな事を考えながら夕日を背に家に帰るのだった……!

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