第22話 部活の顧問
採用試験に合格する前の講師時代から、クラブ活動の顧問はいろいろとやりました。定時制高校では野球部の顧問をしました。やり手がいなかったので、野球の知識だけはあるぼくが引き受けることになったのです。技術的な指導はできませんでしたが、練習試合の審判をしたりしました。球審をしていてボールとストライクの判定は難しく、特に手元で曲がる速い変化球の判定には苦労しました。
中学校では写真部や将棋部の顧問をしました。なり手がいないところに当てはめられたのでした。写真はまだフィルムの時代でした。暗室で生徒が現像したり焼き付けをしたりするのを手伝いました。将棋部には強い生徒が一人もいなかったので、指導するということもなく付き添いをしていたくらいです。
正式に採用されて養護学校に配属された時には放課後の部活がなく、授業時間内に部活の時間があって、そこではマンガクラブを担当しました。冊子を作ったりして割と本格的に活動していました。高校に転勤した時は、演劇指導のエキスパートだという間違った情報が転勤先に行ったため、演劇部の顧問をしましたが、本格的な指導はできませんでした。それでも生徒が熱心だったので、こちらも熱意は込めていました。それと並行して漫画研究部の顧問になりました。こちらは自分の大好きな分野だったので、会誌の印刷や、漫研の交流行事への参加など、かなり精力的に活動しました。演劇部の方は、知的障がい生徒の自立支援コースの担当になった時に降りて、知的障がい生徒とそれ以外の生徒たちの交流サークルの顧問をしました。これはもう業務の一環でした。次の学校に転勤しても漫画研究部の顧問になりましたが、そちらは長年顧問をしていた先生がいたので、副顧問という感じで、自分のやりたいことはできませんでした。退職後の再任用で週三日の勤務になってからは、一応顧問の名前はついていましたが、名前だけの幽霊顧問になっています。
やはり自分の得意分野の顧問をしていた時は楽しかったけれど、学校ごとに事情があって、まったく専門的な知識のない部活の顧問はしんどかったという記憶が強く残っています。
専門外の部活の顧問をさせられたことで過労になった先生たちのニュースがここ数年多く報道され、外部の指導者を招くシステムができるようになりました。いいことだと思います。ぼくの場合は演劇部の顧問が一番きつかったのですが、それは本格的に活動している演劇部の場合、専門的な知識が必要とされたからです。現在勤務している学校の演劇部の顧問の先生は、ぼくが顧問をしていた当時、同じ地区の別の高校で演劇部員だったという経歴があることを最近知りました。もしかしたら、その先生が舞台に立っているのを見ていた可能性がありますね。そのため、現在勤務している高校の演劇部はかなり活発に活動しています。指導者が経験者でないといけないと、あらためて実感しました。
ぼくは学校の部活動はもっと盛んにおこなわれるべきだと思っていますが、そのためには顧問が専門的な指導者でなければならないと思います。引率だけしかできない顧問のもとでは部活の生徒もその力をのばしたり、充実した活動ができません。
外部の指導者を受け入れて専門的な指導をしてもらうことで、教師も生徒も充実した課外活動を送る事ができると思うのですが、そういう予算をつけることのできない府県は部活の意義をどう考えているのかと疑問に思うのです。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます