第7話

瑠生は一人暮しになって、寂しいとは思うものの、匠がいてくれることが唯一の励みになった。匠から「一緒に住むか?」と提案されたけれど、瑠生は強がって「一人でもへっちゃらだよ」と答えた。その後すぐに、そう言ってしまったことを後悔したけれど…。


その匠の紹介で、瑠生は山下公園の近くのジャズバー、サンセットでサックスを吹いている。


寂しさは、匠がそばにいてくれることで癒されて、いつしかそんな孤独感など消えていた。妹とは離れたけれど、それでもずっと夢だった匠がそばにいてくれる。だからその後もそれなりに楽しい毎日となっていった。




瑠生はサンセットのカウンターで、ジントニックを飲んでいた。


バンドのメンバーのモウリとアキさんは、カウンターの内側でピアノやベースの弦を調音しながら、微笑んで瑠生の愚痴を聞いてくれている。


「ほんとムカつくんだよ。こないだだって、あたしがチャリでぶつかった女子高生が事務所に乗り込んできて、彼氏の浮気相手を調べてくれなきゃ訴えるだの怒鳴り散らしてさー。しかもボス、自分でその話し受けといて、結局あたしに全部やらせるんだよ。自分の尻拭いは自分でやれとか言って。その女、ボスの前では女の顔すんだよ。あの猫撫で声。気色悪い」

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る