第4話
昔、父の知り合いだったというアメリカ人のケビンが、横浜の山下町でジャズバーを経営している。高校を卒業してからは、その店で時々サックスを演奏させてもらっている。ギャラは一切貰わない。その代わり、タダで飲ませてもらっている。サックスは瑠生の父が生前、幼かった瑠生に直々に教えた。名のある父ではない。父も祖父も、みんな趣味で楽器を嗜んでいただけだと聞いている。
瑠生の両親は、12年前に亡くなった。
父はアメリカ人で、ハーレム生まれハーレム育ちの黒人だ。そして、母は日本人。そんな両親の元、
瑠生が、10才になるまでは……。
その話しは長くなるので、また別の機会にしよう。
*
瑠生は自転車を飛ばして、山下公園にやってきた。
スピードを出すと、長い髪がサラサラと潮風に揺れる。春の暖かい陽射しを浴びて、風が潮の香りを運んでくると瑠生は自然と笑顔になる。
山下公園内の芝生の散歩道の手前で自転車を止めて、籠にいれていたおにぎりとお茶が入った巾着袋を取り上げると、小走りで芝生に向かった。少し早起きをして作ったおにぎりには、シャケのフレークと梅干しが入っている。今朝少し早起きして作って来た。芝生に両足を前に伸ばして座り、おにぎりの包みを開けた瞬間、リュックから携帯電話の着信音が鳴った。
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