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「いや、こうでもない。ああでもない。――違うな」
遥斗くんは文字化けしたメッセージの復元を試みたが、やはりそう簡単に上手くいくはずがない。彼は完全に頭を抱えていた。
「水口の力を借りるのは最終手段だし、困ったな……」
頭を抱える遥斗くんに対して、あたしはフォローを入れていく。
「まあ、まだ『倉持佳奈の失踪』で済んでるだけマシなんじゃないの? これで他の事件も重なって発生していたら、それどころじゃないわよ」
「まあ、それはそうだな。――そうだ、志穂里には『倉持佳奈の調査』を頼むよ。水曜日の放課後なら、大半の生徒は部活が休みだしな」
「そういえば、今日って何曜日だっけ?」
「えーっと、今日は……水曜日だな。――志穂里、今から2年A組まで聞き込みに行ってくれないか?」
やっぱり、そうなるか。――あたしは渋々遥斗くんからの依頼を
「分かったわよ。それじゃあ、2年A組に行ってくるから」
***
部活がない曜日というのもあって、放課後の2年A組は結構人がいた。まあ、耳にする話の大半は「倉持佳奈が失踪したこと」だったけど。
あたしは、生徒の1人に聞き込み調査を行うことにした。
「えっと……あたしは、2年B組の佐波志穂里よ。あなたは2年A組の生徒で間違いないわね?」
「はい。そうですけど……もしかして、あなたってオカルト探偵の助手でしょうか? 佳奈ちゃんが失踪してから、ウチのクラスでもオカルト同好会の噂で持ちきりになっているんです。『もしかしたら力士シールから端を発する事件も解決してくれるんじゃないか』って」
「そうなのね。――ところで、あなたの名前は?」
「私ですか? 私は……
風間亜衣梨と名乗った女子生徒は、切りそろえられた前髪に長い髪という日本人形のような出で立ちをしていた。
あたしは、改めて彼女に聞き込み調査を行った。
「分かったわよ。それで、倉持佳奈について何か知ってることはないの?」
「うーん……。彼女、真面目すぎて意外と気難しい性格だから、あまり付き合いがなかったんです。でも、ほとんど無遅刻無欠勤に近い状態だったから、ここ2週間姿を見せていないのが本当に不気味で……」
「なるほど。――他に、風間さんが知ってる倉持さんのプライベートな情報ってないのかしら?」
「流石にないですね……。でも、例のシールが机に貼られてから……倉持さんは『何かに怯える様子』を見せていました」
これは、有力な情報だろうか。あたしは亜衣梨さんから詳しいことを聞いた。
「それ、詳しく教えて」
「分かりました。――例のシールが貼られた時、倉持さんは『次は私が呪われるんだわ……』と言っていました。後で調べた話ですけど、このシールって別名『呪いのシール』って言われていて、ネット上でも『検索してはいけない言葉』って言われているんですね。もしかしたら、倉持さんはそのことを知っていて怯えていたんじゃ……」
「そう。――分かったわ。これ、遥斗くんに伝えてもいいかしら?」
「遥斗くんって、あの……オカルト探偵の岡野遥斗くんですよね? 一度、私も彼に会ってみたいんです。まだ、部室の中にいますよね?」
「いますけど……マジで彼と会う気?」
「マジですよ! こっちは『力士シールの謎』で持ちきりなんですから。ここは、本人に会って謎を解決してもらわないと」
「仕方ないわね。部室は実習棟の中にあるから、あたしが案内するわ」
「ありがとうございます!」
やれやれと思いつつ、あたしは亜衣梨さんをオカルト同好会の部室――技術準備室へと案内することにした。
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