Phase 01 力士シールの謎
1
3学期になった。――遥斗くんが転校するまで、あと2ヶ月しかない。
1年生はスキー実習があるし、3年生は卒業式という一大イベントがある。しかし、2年生の3学期は……とにかくこれと言ったイベントがない。つまり、暇である。
一応、バスケ部の方は冬のカップ戦があって、成岡学園は準優勝という成績を残したが……大したイベントと言えばそれしかなく、あたしは退屈な日々を過ごしていた。
当然だけど、「3学期が終わると遥斗くんが転校してしまう」ということもあって、オカルト同好会はなんとなく無気力な状態が続いていた。元々がエアインチョコのようにスカスカな部活だから、遥斗くんが転校したところで自然消滅してしまうのがオチだろう。
そんなやる気のないオカルト同好会の元に、空気を読まず依頼が寄せられてきたのは1月も半ばに入った頃だった。
依頼主は2年A組の「
そんなことを考えつつ、礼司くんは話す。
「実は、オカルト同好会にちょっと頼みたいことがあってね。実は、最近……2年A組の机の上に、妙なステッカーが貼られているんだ。ちょっと気味悪いから、オカルト同好会に調べてもらおうと思ったんだ」
そう言って、彼はスマホの画面を見せてきた。画面には、なんか――お相撲さんのようなステッカーが貼ってあった。ステッカーはあくまでも「お相撲さんのようなモノ」であり、その見た目は――双子のお相撲さんのようにも見えた。何というか、気味が悪い、
スマホの画面を見たのか、遥斗くんは話す。
「そのシール、もしかして『力士シール』なんじゃないか?」
当然だけど、礼司くんは困惑した表情を見せていた。
「力士シール? 何ですか、それ?」
礼司くんの問いに、遥斗くんは眼鏡をクイッとさせて話す。――最初はこの仕草にムカついていたけど、今となっては代名詞というか、一種のローテーションのようにも見える。
「元々は東京近郊の路地裏に貼られていた謎のステッカーで、その名の通り『双子のお相撲さん』を模したステッカーだと噂されていたんだ。気味悪いデザインからネット上では『検索してはいけない言葉』とされていて、何というか……形容しがたい不気味さがある。まあ、真偽は不明と言ってしまえばそれまでだが」
「なるほど。つまり――誰かがイタズラで貼ったシールが気持ち悪がられたってことか」
礼司くんは、遥斗くんの話に納得した表情を見せていた。
2人の話に対して思う節があったのか、礼子ちゃんも話に加わる。
「そういえば、そのシールのせいで『呪われる』なんていう噂も聞いたわね。これは渋谷での話だけど、力士シールを見た人はもれなく無残な死に様で亡くなるらしいわね。いわゆる『力士シールの呪い』かしら? まあ、都市伝説の域を出ないと言ってしまえばそれまでだけどさ」
「呪いねぇ……。確かに、あたしたちの出番かもしれないわね」
あたしがそう言ったところで、遥斗くんは忠告を出した。――これ、結構マズいことなのか。
「志穂里、僕たちが関与するのはオカルト同好会として当たり前の話だが……片岡礼司の話を聞く限り、今までの事件とは比べものにならないぐらい厄介なモノになる危険性がある。――とりあえず、身の回りには気をつけた方がいい」
「気をつけた方がいいって、どういうこと――」
あたしが言いかけたことを、遥斗くんは唇に指を当てて遮る。――今回の案件、相当ヤバいモノなのか。
あたしはなんとなく覚悟を決めてたけど、遥斗くんが言うとおりヤバいモノになるなんて、この時は当然思ってもいなかった。
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