Phase 02 お化けなんて……
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「――あれ? 志穂里と遥斗くん、そんなところで何してんの?」
よく見ると、後ろにいた「誰か」は幽霊なんかじゃなくて礼子ちゃんだった。
「ビックリさせないでよ。こっちはこっちで幽霊騒ぎについて追ってるんだから」
あたしがそう言ったところで、礼子ちゃんは自分が幽霊でも見たような顔を浮かべていた。
「幽霊? 何よ、それ?」
私は、彼女に事情を説明した。
「実はね、宮地くんから『視聴覚室の幽霊退治』を頼まれちゃって……。実際、幽霊のうなり声はこの耳で聞いているし、明らかに誰もいない密室の状況でモノが倒れる音も聞いたわ。あたしと遥斗くんはこれを『ポルターガイストのしわざ』だと断定したのよ」
「ポルターガイストねぇ……。私、その件について思い当たる節があるのよね」
「思い当たる節?」
あたしが尋ねると、礼子ちゃんは思い当たる節について詳しく教えてくれた。
「昔は動画を見るためにわざわざ視聴覚室っていう部屋に向かって動画を見てたんだけど、私たちってタブレット端末で動画が見られるじゃないの。それで、視聴覚室はその役目を終えたんだけど……役目を終えたことを境に、ビデオテープの中から幽霊が出てくるようになったって噂なのよ」
それ、昔のホラー映画で見たヤツだ。あたしはそう思った。
「そんなホラー映画みたいな話って、ホントにあるの?」
どうやら、礼子ちゃんの話によると――あるらしい。
「それが、あるらしいのよね。実際、別の学校の話だけど……いじめを苦にして自死を図った女子生徒がDVDに取り憑いて、幽霊として悪さをしてるって噂よ」
そんな話に対して、遥斗くんは馬鹿馬鹿しいと思っていた。
「――コホン。とにかく、そんな安物のホラー映画みたいな噂話は噂話でしかないだろう。とはいえ、僕たちが幽霊の仕業と思しき現象を目の当たりにしたのも事実だ。ここは、一度技術準備室に戻るぞ」
「分かったわ」
「はーい」
そう言って、あたしたちは一旦視聴覚室の廊下を後にして、オカルト同好会の部室――技術準備室へと戻ることにした。
***
「なるほどねぇ。要するに、誰もいないはずの視聴覚室で幽霊の声が聞こえて、なおかつモノが落ちる音が聞こえたと。しかも、視聴覚室には鍵がかかってて、密室状態だったと」
あたしと遥斗くんが経緯を説明したところで、礼子ちゃんは納得した。
「そうなのよ。幽霊の泣き声? が聞こえて、泣き止んだと思ったら……バタンっていう音がしたのよ。それも、明らかに視聴覚室から」
「そうやって言われると、幽霊って本当にいるんじゃないかって思っちゃうわね。――実際、いるんでしょうけど」
礼子ちゃんは冬季限定のチョコレートをつまみながらそう言った。――不景気の影響なのか、チョコレートも年々小さくなってるような気がする。そんなことを思いつつ、あたしは話す。
「まあ、とにかく……騒ぎが大きくなる前に幽霊を祓わないと大変なことになるわよ」
「そうね。そこは志穂里の言う通りね」
あたしと礼子ちゃんの話に、遥斗くんも割って入る。
「まあ、ハリウッド映画と違って幽霊を掃除機で吸い込むことは出来ないが、根本的な原因を解決して幽霊騒ぎを落ち着かせることはできるだろう。その点に関して言えば、僕の力が必要みたいだな」
遥斗くんは、珍しく乗り気である。――普段、探偵まがいのことを嫌ってるのに。
まあ、彼が事件解決に向けて前向きなら、それでいいんだけれど。
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