-OStTHePOINt-中二病は新日本で秘密結社を創って暗躍を。

狐囃もやし(こばやしもやし)

プロローグ

第1話 終焉と新生

 いつしか。


 突如“存在しない記憶”を夢の中でみるようになった。

 

 その“記憶”はいつもどこかで火の手が上がっていて誰かの悲痛な叫び声と誰かの苦しげな呻き声が聞こえて_________


「なん、で…お、まぇ、が生きて…いる、んだ………!」




 そこでふと、我は目を覚ます。


 ここのところ、毎日こんな調子でまともに寝られる日はほぼない。


「まだ3時か…」


 時計を見るとまだ深夜の3時、もちろん太陽も出ていない。


 登校するまであと3時間も時間がある。寝るには十分な時間だ。


「なんだか今日は何か特別な事が起きそうだなあ…なんとなく」


 そんなことを考えながら、我は再び布団に潜り込んだ、が、もちろん悪夢に魘された直後だから目が冴えて寝れるわけがない。


 しょうがないから朝になるまでスマホをいじって待っていることとしよう。そうすればいい。うん。


 そしてスマホを起動させて動画を見ようと思ったそのとき、突然謎のメールがピロン♩と軽快な音声と共に自分のスマホに送られてきた。


 なんだろうと思ってメールを見てみたが『チュウ イ 警力イヲおこtaるナ』とよく分からない片言な日本語と謎のファイルが送信されていた。


 詐欺メール?かウィルスか何かだったら怖かったので、そのメールは無視しておいた。





 以降このメールは一部の人類にしか送信されない「天変地異の予兆」と呼ばれるようになる





 そして我はカーテンの隙間から差し込む光に気付き布団から這い出た。


 今日も長い1日が始まるぞと思いながらうんと背伸びをした。


 今日この日が人類にとってのある種の「」となることも知らずに。


 朝の空気を吸い込み、歯磨きと洗顔をする。朝食を貪り、制服に着替えたら終わりだ。


 さて、突然だが支度が終わり学校へ向かう準備が整ったのでここいらで「聖心心を清めし呪文」でも紹介しようと思う。


「私は運命の選ばれし者なり…天よ、我に与えられた恵みの数々よ、ふたたびよみがえれ。母の深淵なる愛に肩を寄せ、暗闇の中で輝く星の如く、我はこの世の狭間を生き抜いてきた。涙と笑い、双方を抱きしめ、旅路の糧とした時の奇跡に感謝を捧げよう。今日、この瞬間もまた、我が存在の深奥に刻まれた運命

の証を感じるのだ。運命の流れの中で、我は成長し、闇を切り裂く光となる!」


そして母は大胆なため息をつき、話す。


「また言ってるのね…よく飽きないわよね。それ」


 そう、これをほぼ毎日欠かさず朝に唱えているんです。はい。引かせてたら申し訳ない。


 その後母に「心身を共に過ごした我が家に一時のさよならを」と挨拶を交わした後、駅に向かい改札をくぐり、ホームへと階段を使って登った。


 しばらく電車に揺られることとなる。





 学校の最寄りの駅に着いて、再度改札をくぐると人混みの中早速友を発見した。


 彼の名は九里淳くざとあつし。自分の同級生だ。


 向こうも自分に気付いたようで人を避けながらこちらへ近寄ってきた。


「おはよう!尚輝」


 彼は元気よく挨拶をした。


 彼は昔から元気活発で、クラスからも相応の人気を博していた。


「嗚呼、今日も我が友は心の闇を照らしてくれる、そう、太陽の如き笑顔だ。この素晴らしき早朝に祝杯を!」


「あ、あはは…そ、そうだね!祝杯を」


 彼はまた、ノリが良い。


「貴様の高い状況察知能力には圧倒されるよ。さあ我が友よ。母なる地球が残した禁断の知識の集結した試練の準備はできたか?」


「要はテスト勉強したってことでしょ?もちろんしたさ。全く、尚輝はそういうとこなんだよなー。顔が良いのに勿体無い」


 冗談混じり(?)の雑談を交えながら、歩き続けて5分ほどで学校に着いた。今日は期末考査の初日で、少し学校は異様な雰囲気に包み込まれていた。


「これからの知識の集大作へ挑む貴様に言葉を授けよう『我々は…」


「もういいって…頑張れって言いたいんでしょ?お前も頑張れよ」


「承知した。健闘を祈ろう」


「サンキュー」


 彼とは小学校からの仲だが、こうやって我の言葉を遮ってしまうのが彼の唯一の欠点だ。


 ま、テスト頑張ってと言われたからには良い点でもとって自慢してやろう。


 そんな意気込みを持って我の席に座った。





「はいじゃあみんな揃ったかな。これから2学期期末考査を始める。この2日間監督をさせて頂く。よろしくお願いします」


「お願いします」


「しばらくしたら開始の合図が全校放送から聞こえると思うのでそれまで待っていてくれ」

 …


 カリカリ…


 どこからともなく鉛筆を走らせる音が聞こえる。


 まだテストは始まっていないはずだ。


 その音の正体はそう、我だった。


 教頭の話に耳を傾けながら我は何をしていたかというと黙々と魔法陣を机に落書きしていました。すみません不真面目で。


「こら煤原、何机に書いているんだ」


「失礼しました」


 案の定怒られた。デスヨネ。

 

 しょうがないでしょ暇なんだもん。

 

 仕方ないので大人しく待ってみますよ。全く。

 

 心の中で悪態をついた。


 しばらくすると、放送が聞こえてきた。

 

 が、しかし、それはテスト開始の合図という内容でもなく。


「…ん?区の防災無線?」

 それは区の防災無線だった。


 区の防災無線はあまり使われず、年に1度の区全体の訓練ぐらいである。


 つまり、区の防災無線がなるってことは、相当なことが今広範囲で起きているのだろう。


『区民の皆様へお知らせいたします。ただいま政府が緊急事態宣言を発信しました。区民の皆様は直ちに屋内へ避難し身の安全をカクホしてクだサイ。くり繰り返しまssす。ただいmaaa…』


 と乱れた放送が聞こえた直後、何かが来るという何とも言えない生物的本能が働き、それが的中したのか


 パアァーン



 何か大きなモノが教室の窓を割り、中まで侵入してきたのだった。


 これが、我の人生の最大の分岐点だった。


 





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