第2話 ムダ毛問題じゃなくて、間諜がいっぱい

 さて、ダニエル君となった私。

 そうそうに人生を受け入れるしか無い。

 自ら死ぬような生き方は嫌だし、死ぬのってやっぱり怖いのである。

 誼の時は、一瞬だったけど、やっぱり家族とお別れしたかったしねぇ。

 んで、状況把握しないと、私、ダニエル君はすぐに死にそうなのである。

 目覚めてからベットの中でできる事は、もちろん己が力の再確認である。

 孫のみー君曰く、基礎能力とスキル確認して育成しないと、経験値が無駄になるらしい。

 彼は小3にして効率厨なのである。

 息子にそっくり。

 そして元気か息子よ、母ちゃん異世界でトランスしちゃったよ。

 母ちゃん、父ちゃんになっちゃったよ。

 娘だったら大爆笑だけど、息子は気絶しそうだ。神経質なんだよね、現地の水で下痢して無いかしら?お嫁ちゃんの言う事聞くのよぅ。


 まぁ電波飛ばしてもしょうがないので、ステータスを確認。

 んで、スキルはこんな感じ。

 転生三点セット。


 アイテムボックス、言語理解、鑑定。


 もう、勝ち組じゃない?

 庶民になっても生きていけそう。

 他には?

 なになに、ダニエル君由来のスキル..


 精神耐性、痛覚鈍麻、微弱毒耐性..


 …

 ダニエル君、頑張ってたんだねぇ。

 おばちゃんさ、応援するよ。

 逃げたっていいのさ。

 そいで、おばちゃん、代わりに仕返ししとくから。

 きっとダニエル君は、そんな事望んでないだろうけど。

 おばちゃん、ちょっと粘着質に仕返ししたらぁ!!

 最初に、殺人の罪でアノ剣術指南役は拷問からだな。

 ふぅ〜

 来世ではケモミミで楽しく生きてほしい。

 他には?

 で、ステータスの最後に妙な記載。


 美の女神ルルンの加護。


 思春期男子なんだが、もしかして転生担当の神様がコイツ?

 んで、ステータスの文字を見つめると…


 ルルンの加護⇒ムダ毛が生えない♡


 ムダ毛(すね毛その他、ヒゲも生えないツルツル仕様。全女性の夢の加護)


 詳細説明あざーっす。


 ちげぇよ…

 いらねぇ、つーか逆に男子としてヒゲも生えないとかだめでしょうが。

 ツルツルイケメンは童顔少年なら良いが、それも生えないのは…いいのか?

 ダニエル君的にはアウトでも?

 私としてはいいのか?

 だんだんわからなくなってきた。


 他に有用なスキルはあるだろうか?

 ちなみにステータスはスマホ画面ぐらいでスクロールタイプ。

 私だけが見えてる。と、思う。

 使用人の人は何も反応なかったしね。


 さて、自分自身の健康状態は良好。軽度肥満とあるけど、呪いの為に内臓その他には影響がなくて、あくまでも見た目が悪くなるやつだったようだ。

 更に私が入り込んだおかげで、毒やらなんやらもデトックス済み。

 お肌ツルツルと同じく、どうやら女神ルルンの恩恵のようだ。

 まぁありがとう?なのかなこれ。

 んで、何をどうするか?と、考えてもできることは限られている。

 スキルも特殊なモノは無いし、魔法適性も不明。

 魔法表記があるところを見るに、魔法ありきの世界観みたいだね。

 つまりダニエル君は、公爵家嫡子としては、普通の子だったのだ。

 多分、これが元々の原因だったりするのかも。

 元気ならいいんじゃね。

 と言うのは庶民の考え。

 一応ダニエル君の薄ぼんやりとした情報では、嫡男は何かしらの才を証明するもんなんだそうな。

 元気ならいいじゃん。

 元気じゃなくたっていいじゃん。

 子供は生きてるだけでいいんだよ。

 教育は与えるし、躾もするけど、それに見返りを求めちゃだめなんだよ。

 自立する手助けをするのが大人の努めだし、排除しようなんて論外。

 弱肉強食?

 そういう世界観?

 いやいや、行き過ぎだろ。

 と、私は思うけど、何か爵位問題があるらしい。

 わかってる。

 綺麗事だけじゃないってのもね。

 けどけど子供に望むなら、お前らはどうなんだよって言ってやりたいなぁ。

 んで、多分早熟で出来の良い継子と継母に邪魔にされてる。

 父親は不在の記憶。

 実母は鬼籍。

 時々、爺様が様子見に来るけど、うーん。

 記憶が曖昧だなぁ。

 ともかく、毒やら刺客から身を守りつつ、現状把握と己に力をつけるしか無い。


 つまり?


 健康な肉体にこそ、健全な精神が宿る。

 鍛えるしか無いのであった。パワー!


 まぁそれはそれとして、スキルの確認を続けましょう。

 まずは、アイテムボックスね。

 詳細は..


 アイテムボックス⇒時間停止機能付き、ワンルームタイプ。


 注意)

 貴方が死ぬと中身が飛び出します。

 また、無限ではないので必ずソートして整理整頓しましょう。汚部屋は駄目ですよ。

 生物は入りません。

 魔力には依存していない転生特典の為、周囲にはバレません。ラッキー♡


 ルルン様ありがとう?って言っておくべきか。


 次は、言語理解⇒この世界の知性ある言葉を話す生き物と意思疎通がはかれます。


 注意)

 読めて書けるのは、ダニエル君の知識依存なので、お勉強しないと読み書きはできません。努力あるのみ。ただし、話す、会話はできます。これもアドバンテージになるよ♡


 なるほど、十分だよ。ヒアリングできるだけでも楽だもの。

 そして一番、今後お世話になるだろうスキル。


 鑑定⇒アカシックレコードに直結してる万能スキル。


 注意)

 詳細鑑定をする場合は、接触が必要。

 また、これも魔力に依存しないため、隠密行動に向いています。

 食べ物を食べる時、新たな人物と交流する時、タッチできなくても何度も鑑定をかけてみましょう。いろいろな事がわかっちゃうぞ♡


 ここまで読んで、わかる。

 ルルン様、本当はダニエル君を殺されて怒ってる。

 あの二重音声が本音なんだね。

 だから今度は絶対に殺させないし、殺そうとしてくるやつを返り討ちにしろっていう事だろう。

 それも今までのダニエル君の能力の範囲内でだ。


 つまり、この転生者特典三点セットは、魔力が動かないので現地民には知覚できない。

 隠密行動推奨で、相手が殺しに来たら回避できるようにしている。

 そして私、理解した。


 如何にひ弱なお坊ちゃまでも、権力は使えるのである。

 虎の威を借る狐状態で対処しよう。

 つまり外部の目線がある時は、ばりばりそれに頼り、閉鎖空間では只管サバイバル&仕返ししてやろうムーブをしろと。


 女神様、祭壇とか造ったら交信できるかな?


 まぁただでは殺されない(殺されるなら周りも巻き込んで自爆したらぁ!!)ムーブをして頑張ろうっと。


 ***


 そいで目覚めてからの、お医者様来訪。

 執事?は、何処の誰の持ち駒かな?

 そいで持ってきたお水に毒はないかな?


 早速、鑑定してみよう!

 経験値も貯まるかな?

 つーか経験値とかあるんかな?

 と、言う感じで鑑定発動。


 執事の人。

 お医者の人。

 水差しの水。

 銀のコップ。


 うん、知ってた。


 そして孫のゲームだったらさ。

 何度もチャレンジすると経験値が微量でも貯まるのさ。

 んで、鑑定、鑑定、鑑定、鑑定...


 執事(間諜)の人。

 お医者(脅迫されている)の人。

 水差しの毒(遅効)水。

 銀のコップ(贋)


 アカン..

 お医者の差し出す薬を見る。


 お薬。


 はいはい、鑑定&鑑定!


 お薬(痛み止めに見せかけた心臓にダメージ来るやつ!!飲んだら駄目よ!!)


 はい、鑑定と言いつつルルン様のお言葉が飛んできた。

 んで、ナチュラルに儂、言ってみる。


「おい、お前、毒見しろ」


 何を言ってるんだという男二人。

 再び言う。


「おい、そこに控える女、聞こえないのか?」


 と、実は部屋にもう一人、侍女らしき者が控えている。

 この侍女、既に鑑定済み。


 侍女?(継母子飼いの刺客)


「ダニエル様、侍医の薬をお疑いになるのは」


 困惑顔で言う執事(間諜)

 何サラッと毒薬盛るの加担するんや。

 お前もグルか?


 鑑定、鑑定、鑑定..


 執事?の人(ほぅ、気が付きましたか?とか考えてるね)


 つまり?


「じゃぁ、お前、これ半分飲め。疑う必要がないんだろう?

 それともお前は、毒見も無しに口に何かを入れろというのか?

 おい、さっさと女、この水で、その薬を飲め。

 それともお前が飲むか?

 おい、医者、お前でもいいぞ。お前が差し出す薬だ。

 お前自身、全部飲んでみろ、もちろん、この水でだ。」


 逆らうかなぁ〜と、ちょっとワクワク。

 これで無理やり、この三人が私の口に毒を突っ込んだら、それで終了なんだけど。

 たぶん、これ一回飲んでも即死はしないはず。

 つまり寝付いて、徐々に弱らせて死亡。

 長男、病死ってのを装いたいんじゃないかな。

 それか事故死。

 しかし、急に積極的じゃないの。

 何かあるんだろうねぇ。


 少なくとも、この執事は、ルルン様曰く、グルという感じでもない。

 で、その執事のオッサンは、シレッと女を招く。

 悪怯れることなく、毒見をしろと言う。

 侍女は動かない。

 まぁそうだよね〜。

 表情は変わらないけど、こいつ毒だって知ってるって事だな。


「じゃぁ薬だけでもいいぞ。痛み止めだそうだ。

 半分飲んだ所で、死にはしない。

 ほら、何で嫌がるんだ?

 やっぱりお前が飲むか?」


 と、執事に再度言うと、当人は侍女の腕を掴むと引きずってベットの側に引っ立てる。

 なかなかに容赦無いし、見た目を裏切る腕力だね。

 何かスキルもってそう、こわ〜。


 で、ここまで来ると、医者が震えだした。

 こっちも表情を変えていないけど、脂汗がこめかみに浮かんでいる。

 んで、どうなったか?


 別段、バイオレンスな事はおきなかった。

 普通に侍女が泣き出し、医者が土下座。

 執事が大きなため息をついてから、騎士を呼んで、二人を連れ出したってだけ。


 無事、私生存。

 お薬とお水は運び出されて、違う水と使用人が来る。

 んで、鑑定。


 侍女(間諜)

 執事(間諜、クレイグ家ではない外部の手勢)

 お薬(痛み止め。今回は普通の薬)

 お水(煮沸済み、飲んでも大丈夫。)

 コップ(煮沸済み)


 う〜ん。

 どうするよ、これ。


 執事を見上げる。

 渋いオッサン、いや年齢不詳だし変装もしてそうだわ。

 どこの間諜かは知らんが、外の人間がここまで入り込んでるクレイグ家って、終わってんじゃね?

 そして間諜の侍女。

 普通の侍女とか女中はいないんかい。

 まぁでも、同じ勢力なんか?


 侍女(レーヴェン家間諜)

 レーヴェン家?


 侍女・アリス(レーヴェン家間諜、ダニエルの母の家からの間諜)


「これにてご容赦を」


 あんまりじ〜っと見てたら、執事?に言われる。

 何?


「坊ちゃまのお世話から外していました、アリスを戻しました」


 ようわからん。

 で、執事を再度鑑定。


 執事(間諜、外部勢力の手勢、詳細鑑定はレベル不足にて接触で読み取るといいよ)


 仕方なし。

 つーことで、片手を差し出して起き上がる。

 ベットで伸びてたのである。

 そして自然に起こしてくれる間諜の人。


 執事ベッセン(年齢経歴すべて詐称)

(王家間諜・上位貴族家へと忍ばせている王家の手勢の一人。謀反以外は情報伝達のみでお家騒動などは関与しない。つまり味方ではないが敵でもない。

 この人への印象操作こそが重要。

 王家と治安機関へ人物像を知らせるのが、この人の役目。

 そして実際、愚鈍で無能となれば、この家の継承権が親族に移されても当然という扱いになりかねないのよ。でも貴方の父親の子はクレイグの血なんて入ってないから問題外。ちなみに父親も婿養子よ)


 もう隠す気無いのね、ルルン様。


 つまり?

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