第1話 平穏の壊れる音

 「今日一番の運勢は 水瓶座のあなた!きっと新しい出会いがあるでしょう」

 そうテレビから流れてきたとき気分は最悪だった。

(新しい出会いなんかいらねえよ)

そう思いながら学校に行った。


 「やっぱりお前も彼女作ったほうがいいよ!

誰か好きな人とかいないのか?例えば、月姫とか?」

 友人の桜井颯太が問いかけてくる。

 その瞬間、ガラガラと扉の開く音がして教室の空気が止まる。

 別にうちのクラスがいじめをして急に無視をしたとかじゃない。

 ただ、学園一の美少女、白河紬が入ってきただけだ。


 容姿端麗、成績優秀、かぐや姫にあやかって月姫と呼ばれている、らしい。

 平穏に過ごしたい俺からするとまさに

『危険人物』だった。


 (まあ、関わることもないだろう)

その時は、まだそう思っていた。


 その日の昼、穴場の校舎裏で読書をしていた。

その時だった。


「――ねえ、君、名前なんていうの?」


 平穏の、壊れる音がした。

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