黒瀬智哉の悪魔的日常

黒瀬智哉(くろせともや)

前世の記憶 そして創作の神

 もしかしたら、


 私はとんでもない存在なのかも知れない――。


 まるで創作の世界から現実世界に飛び出してきたかのような、創作の神。


 私に宿るこの不思議な魂は何だというのだ……。その問いは、まるで透明な棘のように心に刺さる。


 創作小説を生み出すならば、勝手に文章が脳内に浮かび上がってくる。キーボードに指を置くと、まるで指先が磁石に引かれるように勝手に動き出し、光の粒子が形を成していくかのように、言葉が連なり始める。


 その響きは、耳元で囁かれる遠い記憶のようで、しかし確かに私の声だった。常識では考えられないペースで次々と創作小説が生み出されていく――。


 これは夢か……?


 私はずっと夢を見ているのか?


 目の前の現実が、まるで透き通ったベールをまとっているかのように曖昧になる。


 かと思えばイラストを描く時もそうだ。


 このイラストの世界もまた、創作世界を視覚で表現したものである。ペンを握ると、脳裏に浮かぶイメージが鮮やかな色彩を帯びて、自然と紙の上に転写されていく。


 そして漫画――これももちろん、創作世界そのものだ。コマ割りの向こうに、登場人物たちの息遣いや、街の喧騒までが確かに聞こえるような気がする。


 ありとあらゆる創作を生み出す時に、理由のわからない不思議な力が宿る……。それはまるで、目には見えない脈動が、私の手のひらから世界へと放たれているような感覚だ。


 あ――いま、また。


 とんでもない物が降りてきた――。


 背筋に冷たいものが走り抜け、全身の毛穴が開くような感覚に襲われる。


 これは……やばい――。


 予知なのか?


 どこか人類の未来のようだ。遠い地平線に、燃えるような赤と、深い闇が混じり合う不吉な空が見えるような気がした。


 本当にやばい……世界の終焉が来る――のかも。


 現実と創作の境界がわからん……。


 私の足元が、ゆらゆらと揺れる水面に立っているかのように不安定だ。


 不吉な現実世界の終焉(未来)であるなら誰かに伝えた方がいい。


 まあいい。私はそれを自分の創作世界の物語として綴ってみよう――。


 こんなもの生み出していいものだろうか……。


 胸の奥に、鉛のような重い塊が沈む。しかし、書き始める衝動は、もはや止められない――。

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