創作記録

栗色の乙女と黒色の狼

 栗色でふわふわと風に揺られる彼女の髪を見ていると、蒲公英たんぽぽの綿毛が風で飛ばされて空へ高く高く運ばれていくような、そういうシーンが頭の中に流れてくる。

 前髪が長く肩まで、後ろ髪は背中の真ん中あたりまで。化粧のおかげか、桜色に色づいた唇はつややかだ。視線はいつも下を向いているため、目が合うなんてことは一度もない。

 彼女と出会って1年程だが、ただの一度も笑った顔すらも見たことはない。もしかして嫌われていたり……なんて、気にしすぎか。


「ちょっと、あたしのこと見つめ過ぎじゃない? あたしに何か用でもあるの?」

「あ〜……ごめん。視線が刺さってた? いや、用があるとかではない」

「あ、そ」


 流石にまじまじと見過ぎた。失礼だった。

 声を掛けられた時も一瞬だけ睨まれる程度で、視線は一切合わない。君の笑顔を見たことがないなんて、出会って1年目の人間に伝える事でもないよね。

 実際、相手にそんなこと伝えられる存在はいる? もしいるのだとしたら前世はポメラニアンの生まれ変わりかな。

 懲りず、彼女を見つめていれば鬱陶しそうに顔をしかめて睨まれる。


「まだ何かあるの?」

「君のかおを、見ていたかっただけ。鬱陶しいよね。ごめん」

「あたしの顔を? いや、別にそんな凹まくても。あたしの顔をみたいだなんて、きみは随分物好きだね」

「そうかな?」

「そうだよ」


 みたいな。女同士か男女かどちらともとれる人間をかいてみたい。「彼女」の瞳はふさふさの睫毛によって縁取られていてとても可愛らしいのに、瞳を覗くと光がない、ただ底にあるだけのものがある。というのが見たい。

「彼女」も「きみ」もどちらも特に明るくはなくて、ひとり静かに部屋のすみで本を読んでいたりひなたぼっこをしていたりするような人間。


「彼女」と「きみ」のプロフィールを練る。


「彼女」

 性格/特徴:大雑把、しかし人間に対してのみ神経質/良く言えば猫。悪く言えば一匹狼。

 一人称/二人称/三人称:あたし/きみ/あんたら

 人がすき/嫌い:基本的には嫌いだし、人と関わらないが吉と考えている。けれど、距離感を測って接してくれる人はすき。

 家族/友人:家族仲はさして良くはないが悪くもない/いないに等しいが、向かいに住んでいる幼馴染がいる。恋愛に発展しない程度に話す。

 趣味:風景写真を撮ること。どこに出かけるにもカメラを鞄の中にしまっている。一期一会の風景をカメラの枠にしまい込めるように。

 容姿:栗色の髪。前髪は肩につく程度。センター分け。程々に整った顔立ち。ハイライトのない瞳。


「きみ」

 性格/特徴:基本人見知り。面倒ごとが嫌い/人の世話を燒くのが本望だと、周りから思われている程度には委員長気質。当人は特に他人の世話を燒くのはすきじゃないし、なんなら嫌いまである。

 一人称/二人称/三人称:僕/君/君たち

 人がすき/嫌い:特に好きでも嫌いでもない。恋人はいたが、毎度のごとく『従兄弟そいつよりも自分を好きでいてくれてるのか、わからなくなる』と振られる。当人としては『好きのベクトルが違うだけでどっちも好きなので選べない』だけ。バイ。

 家族/友人:仲の良い母子家庭。今は家を出て歳離れた従兄弟(23)と2人で暮らしている/友人の数は少ない。パーソナルスペースが広いようで意外と狭いため、人との距離感を気にしない。

 趣味:人っ子ひとりいない図書室のカフェスペースでひなたぼっこをするのがすき。

 容姿:中性的な顔立ち。黒髪ウルフ。ピアスは両耳で4つ。視力はそこそこに良いが、読書をする時やPCを開いている時は眼鏡をつける。

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