第72話:海の魔神騎士、ピスケス
「勇者達よ、感謝する」
白い鹿がジャスティン達に頭を下げる。
「大きな被害が出る前に、どうにかできて良かったです」
馬の魔神騎士タリアスをどうにか帰って貰ったジャスティン達。
「ジャスティン様、次へ参りましょう」
「そうだね、この一帯には魔族の気配もないし」
ソレイユとジーナがジャスティンの両脇から告げる。
「と言うわけで、失礼いたしました」
ジャスティンが鹿へ一礼して、別れの挨拶をする。
森を出たら、今度はジーナがチャリオットを召喚して三人は乗って飛び立つ。
「さてと、世界震は収まったみたいだが一度戻ろうか?」
ジャスティンは思案する。
空の上で日光を浴び、肉体の疲労などは回復している。
だが、精神的にはひと休みしたかった。
「ジャスティン、頑張りすぎだよ? 君は少し休んだ方が良い」
「ジーナに同感です、食事と入浴と睡眠で休息を取りましょう」
ジーナとソレイユが休養を勧めて来る。
「確かに、修行に他t界にと飛ばして来たからな」
ジャスティンは二人の提案に乗ろうと思った。
だが、自動的に彼の両目から真紅の炎が迸る。
「まだまだ仕事時間だって、言ってるな海の方にでけえ魔力だ!」
「私がおります、ジャスティン様は抱え込みすぎてはいけません」
「そうだよ、僕もいるんだからね?」
ソレイユが優しくジャスティンに告げる。
ジーナは海の方へと、空飛ぶチャリオットを急がせる。
「よっしゃ、次の現場を片づけたら皆で宴会だ♪」
ジャスティンは、無理やり笑い自分の精神をリラックスさせる。
「そうだね、じゃあゴッドフェイスでぶっ飛ばそうか♪」
「ええ、ジーナも私もあなたに助力を惜しみません!」
「悪いなソレイユ、立場的には俺がお前に仕える身なのに」
ジャスティンはソレイユに謝る。
「惚れた推しには援助を惜しみません、見返りはいただきますが♪」
「僕もだよ、ジャスティン♪」
「わかった、覚悟しておく」
三人は空の上で光に包まれて、ゴッドフェイスへと合体変身を行う。
「ヒャッハ~~! 野郎ども、人間界の海を蹂躙だ!」
「「「ヤイサホ~~~~イ♪」」」
海の上では、巨大な魚の白骨で覆われた海賊船が出現した。
甲板上で手下のスケルトン海賊達に叫ぶのは、魚を模した鎧兜の黒き騎士。
魔界の海賊騎士こと、魔神騎士ピスケスである。
「キャプテン! 空から勇者がやって来ました!」
望遠鏡を持ていたスケルトン海賊が叫ぶ。
「は、俺らの対空攻撃舐めんな! 撃て!」
ピスケスが命じると、船の両脇から白い砲身が飛び出しビームを発射!
「そうは行くかよ!」
空の上のジャスティン達ゴッドフェイスは、チャリオットを操り回避する。
「よし、ミーティアキック!」
ジャスティン達は、チャリオットから飛び降り流星の如く落下!
ピスケス達の魔界の海賊船を横転させた!
だが、敵の船は波しぶきを上げて自動で起き上がった。
「チキショウ! よくも俺様の船を! どこが勇者野郎!」
ピスケスが叫ぶ。
「目の前だよ、ゴッドファイヤーパンチ!」
「な! ぐはっ!」
ピスケスの目の前に現れたゴッドフェイス。
ジャスティンが主体で肉体を操作し、ピスケスを炎が灯る拳で殴り飛ばす!
転がりながら吹き飛ばされたピスケスは起き上がる。
「ちい、お前が噂のジャスティンか!」
「どんな噂だよ、魚野郎!」
相手が錨を出して来たので、ゴッドサンバードソードを出して構える。
「主人喰らいのデモリスを垂らし込んだ、イカれた変態勇者だ!」
「根も葉もなさすぎだ馬鹿野郎!」
ピスケスの錨と大剣で打ち合うゴッドフェイス。
ピスケスも魔神騎士であるが故に、ゴッドフェイスともそこそこ渡り合えていた。
「一応聞いておく、神側と一時的にでも手を組む気はないか!」
「あるか馬鹿野郎っ! お前らを倒すチャンスだ!」
ジャスティンがピスケスと武器を打ち合いつつ尋ねる。
その答えはノーだった。
「お前らの縄張りを俺がいただく! 人間どもを蹂躙だ~~♪」
「上等だ、お前はここで殺す! ゴッドファイヤーソード!」
「うがっ! あぶねえ!」
ジャスティンの怒りに大剣が呼応して刃に炎が灯る。
話が通じる者もいれば、通じない者もいる。
戦いによる命のやり取りしか、止める手段ない相手も存在する!
ジャスティンは、このピスケスと言う魔神騎士は許せなかった。
「錨だけだと思うなよ、カースバレット!」
ピスケスは錨を捨てて飛び退き、二丁拳銃から漆黒の弾丸を乱射した。
だが、呪詛が籠った魔力の弾丸の雨はゴッドフェイスには届かなかった。
ゴッドフェイスの全身から発せられた黄金の炎が、着弾前に焼き尽くしたからだ。
「終わりだ、ゴッドファイヤースマッシュ!」
巨大な黄金の太陽を宿した、ゴッドサンバードソードを振るう。
それは回避も防御も闘争も不可能な、黄金の太陽の鉄槌。
魔神騎士ピスケスは、断末魔の叫びを上げる間もなく海賊船ごと消滅した。
「やばい、大技使っちまったから神気が!」
「ちょ、ここ海の上だよ!」
「大丈夫です、味方が来ます♪」
大技でエネルギーを使い過ぎ、変身が解除されたジャスティン達。
自分達が放った技の余波で吹き飛ばされる。
「我が掌に漏れは無し!」
突如空から響いた叫びと共に、巨大な黄金の掌にジャスティン達を受け止める。
「おお、これはローシャナ様か?」
「感謝いたします、ローシャナ様」
「ありがとうございます、わが弟神よ♪」
ジャスティン達は掌の主、ローシャナに礼を言う。
金髪褐色で袈裟姿の美青年、ローシャナが微笑んだ。
「間に合ってよかった、船も来ておるぞ♪」
そう言ってジャスティン達は、巨大な船の甲板に下ろされる。
「あんた達、大丈夫なの?」
船室から出て来たのは、仲間の一人熊耳メイドのターニャだ。
「ジャスティン殿、無事でござるか!」
続いてチヨノスケも甲板へと出て来る。
ジャスティン達は、五天の仲間達に回収されたのであった。
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