第9話 雷獣 対 柳

 なぜもっと早く気付かなかった……? 柳は思考をめぐらせた。いつもの僕なら、雷獣ほどの大物であれば接近をすぐに察知できたはずじゃないか……それがどうして今まで……。まさか……

(保見の影響か?)

 常葉の中に封じられている神羅の復活が近くなったのも、自分の霊感度が鈍ってしまったのも、もしかするとこののそばにいるからなのか? 強大な霊力の近くにいると、その霊力に当てられて自らの霊力が半減したり、逆に強大になったりすることがあると聞く。もしや……それか? しかし、だとしたら……

(保見は一体どれだけの力を秘めているというのだ? 霊力を封じたにもかかわらずこの影響のありようだとすると……あるいは、あの神羅よりも……)


 柳は保見を抱えたまま、土手を滑り下りて、ひたすら走り続けた。

 町からだいぶ離れた、人気の全く無い森の中で廃寺を見つけ、一先ずそこに身を隠すことにした。柳は、妖怪達から見つからないようにボロボロの寺の周りに結界を張り、保見に絶対に外に出てはいけないと言いつけた。そして、保見を一人中に残して、柳は外へ出て行った。

 日はまだ高かった。廃寺の壁には小さな穴がところどころ開いており、建てつけが悪くなり傾いた戸の隙間から日の光が中へ差し込んでいる。しかし、そのうちに日の光は消え、穏やかだった気候は一変し、強風がガタガタと古びた戸口を揺さぶり始めた。保見は一人で不安になってきた。そっと戸口を開けて、柳の姿を探した。


 外は風と雨がびゅうびゅうと吹きつけ、空では不気味な色をしたいびつな雨雲が高速で運ばれていく。長い髪を一つに束ね、金色の錫杖を傍らの地面に突き刺し、懐に札を忍ばせ数珠を身につけ、これからの戦闘に備えている柳の姿を見つけると、保見は叫んだ。

「柳さん!」

 ずぶ濡れの柳は、さっと保見の方へ顔をやると、怒ったような表情で寺の戸口まで駆けてきた。

「馬鹿! 中にいろと言っただろう! 出てきてはいけない! 早く戻れ!」

 ぐいっと保見を突き離すように、寺の中へ押しやり、戸口を閉めようとする。保見は柳の、雨で濡れて冷たくなった手をさっと握り、目を見つめながら言った。

「柳さん……死んじゃ、やだよ?」

 稲妻がピカッと光った。音はまだ遠くに聞こえる。雨風がより一層強くなった。

 ぽんっと保見の頭に手を置くと、にやりとして柳は言った。

「余計な心配はするな。僕は妖怪退治屋をしてるんだ。この程度のことは日常なのさ。さあ、大丈夫だから、中で待ってろ。いいか、絶対に外に出てくるなよ? 約束だ。僕は保見を信じる。だから、保見も僕を信じるんだ」

 保見は、うん、と頷くと、さっと戸口を閉めて社殿に閉じこもった。ピカッと閃光が走りすぐさまピシャンッと音が轟く。いよいよ、近い。


「さぁ、来いよ!」


 柳は地面から錫杖を引き抜くと、くるくると華麗に回して身構えた。


 妖怪達は大群で押し寄せてきた。まずは小物の妖怪達が束になって突っ込んできた。

「退治屋の柳! 退治屋の柳がいるぞ!」

 妖怪たちは我先にと柳へ向かった。柳は袖口から人型の紙切れをつまみ出し、妖怪の群れへ向けて放った。

「出でよ! 式神!」

 ゆらりと風雨に舞ったかと思うと、紙切れは数百の小鬼へ変化し、妖怪共を蹴散らし始めた。

「式神だ! 気をつけろ! 喰われるぞ!」

 一瞬にして妖怪の大群が散り散りになった。

 小物妖怪達が式神に喰われていく中、妖怪達の指揮をとる緑色の鬼が柳に言った。

「退治屋の柳。お前にはこれまでに同胞をいくつもやられた……首をとって雷獣様に献上してやる……!」

「なるほど……では、手合わせといこうじゃないか」

 柳は錫杖を棒高跳びのようにして、空高く舞い上がった。バチンッと錫杖が緑鬼を打ったかと思うと、緑鬼は牙で錫杖に噛り付き、受け止めた。

「おや、頑丈そうな牙じゃないか、どれ」

 柳はグリンと錫杖を回転させると、バキバキと鈍い音がして緑鬼の牙が粉々に砕けた。牙から解放された錫杖を思い切り振り落とし緑鬼の脳天を打つ。声にならない悲鳴をあげて、緑鬼は墜落していく。すかさず柳も後を追う。

 ビタンッと地面に打ち付けられた緑鬼のうつ伏せの体を、柳は足で小突いてひっくり返す。

「牙は無くてもしゃべれるな? お前たち、なぜ僕を襲う? 答えろ」

 緑鬼の喉元には錫杖の先端が突きつけられていた。憎しみを込めた眼差しを柳に向けながら、緑鬼は口を開いた。

「女だ。すごい霊力を持った人間の女が一緒にいるだろ? どこかに隠したんだろうが、無駄だ! 雷獣様はその女を喰って力を増されるんだ。そうすりゃ、復活した神羅だって目ではない」

(こいつら、神羅が復活したと思っているのか……)

「調べはついてるんだ。お前とあの女が一緒にいたってな。まだそんなに遠くには行けないはずさ……案外すぐ近くに隠してあったりしてなぁ……どこに隠した?」

 どすっと柳は錫杖を突き立てて緑鬼にとどめを刺した。

 柳の張った結界は、有効に働いている。廃寺全体を隠し、そこに保見がいることもまだばれてはいない。しかし……。

(このままでは、感付かれるか……)

 柳は一先ず、寺から距離をとることにした。妖怪どもは柳を目がけて襲いかかってきている。ならばこのまま引きつけて、一気に仕留めてやる。

 ぬかるんだ土を蹴って、柳は走った。妖怪の大群が追ってくる。いいぞ……柳がそう思った瞬間、


バチバチバチッ!!!


 凄まじい落雷が地面を揺らした。柳の式神が半分以上吹き飛んで煙になって消えた。同時に小物妖怪達もほとんどが吹き飛ばされ、辺りは一瞬すっきりと静まり返った。チッと舌打ちして柳は閃光の出所を睨んだ。

「来たな、雷獣……」

 青白い光に包まれた一角獣が、白い体毛を雲のようになびかせ天から覆いかぶさっていた。柳の十倍以上もあるその巨体がゆったりと下りてくる。

 柳は懐から札を取り出すと、錫杖に貼り付け、力いっぱい錫杖を地面に突き刺した。

(さぁて……大将のお出ましだ……。上手くいってくれよ……)

 柳は懐に忍ばせた切り札となる道具を着物の上からぐっと握った。

「小僧、柳……と言ったな? 退治屋。一度だけ忠告してやる。我はあの娘を喰らって、この世の頂点に立つ。神羅と呼ばれるあの忌々しい者よりも、我は強い力を持ち、この世を支配してやる……。して、その小娘の居所だが、大方結界をこさえて隠しているのだろうが……主が死ねば結界も破れる。娘を喰らうことも容易い。しかし主はなかなか強い。使えそうだ。我に服従を誓い、娘をすぐに差し出すなら、生かしてやってもいい」

 雷獣は声には出さず、柳の心に直に語りかけてきた。ものすごい威圧を感じながら、柳はニヤリとする。柳も同じように、雷獣の心に向かって念じた。

「そんなにあの娘の力はすごいものかね?」

「今は力を封じられているが……それが好都合よ……。喰うには容易い……」

「力が封じられていなかったら、喰えないってことか?」

「……口を慎め、人間」

「僕は知らないのさ、あの娘がどれだけの霊力をもってるのか……。しかし、あんたがそこまで言うなら、本当らしいな……。そいつは喰わすわけにはいかないねぇ……」

「こちらの提案に応じない、ということか」

「やり合う前に、一つだけ聞かせてほしい。あの娘の霊力、神羅と比べてどっちが大きい?」

「……神羅だろう……。しかし、我の霊力と合わせれば……」

「じゃあ、あんたと娘とじゃ、どっちが上だい?」

 雷獣はピリピリっと体中に電流を走らせると憤ったように唸った。

「我にきまっているだろう!!!」


グシャンッ


 眩い光線が辺りを照らした。雷獣が柳めがけて特大の雷を落としたのだ。しかし雷は狙いの柳には当たらず、柳が地面に突き刺した錫杖に引き付けられるかのように落ちた。地面がえぐられ、半分以上埋まっていた錫杖の柄が、ほとんどむき出しになった。

「何だ? 狙いが定まらぬ……」

「はは!」

 柳は勢い良く走りだした。雷獣は走る柳めがけていくつも雷を落としたが、どれも錫杖へ吸いつけられて柳には当たらない。

「さては、錫杖に避雷針の術をかけたな……小癪なっ!」

 雷獣は、それならば錫杖を粉々に吹き飛ばすほどの特大な雷を落としてやると力を溜め始めた。天がゴロゴロと不気味な音をたて空気を振動させる。雷獣を中心に雨雲が渦を巻き始めた。

「次の一撃で、主は錫杖もろとも消し飛ぶ……」

 満足そうな笑みを浮かべて雷獣は走る柳を目で追った。柳は雷獣の背後へ向かって走った。急がねば……次の一撃で、決まる。

「式神!」

 柳は袖口から再び式神を召喚すると、突風とともに赤い鬼が現れ、柳の体を天高く舞いあげた。

「無駄なことを!」

 ビリビリと青い電流が雷獣に収束されていく。来る。

「行け!!!」

 柳は懐から取り出した物を、雷獣の尾に突き立てた。それは白羽の矢であった。と同時に何かを念じると、地に刺していた錫杖の札が焼け落ちるように消えた。刹那、天が光り、柳はありったけの力で雷獣の尾を蹴り、飛び下りた。「式神!」叫ぶが早いか、ドシャンッという轟音と、雷獣の悲鳴がけたたましく響き渡った。

 雷獣がありったけの力で作り出した雷は白羽の矢へ向かって、つまり雷獣自身に落ちたのである。のたうちまわる雷獣の姿を、宙に放り出されたまま見据えると、柳はニヤリ、と笑んだ。

 式神に運ばれ、柳が地上に降り立つ頃には、辺りから雨雲は消え去り、暖かな日差しが差し込んでいた。勝ったのだ。

 生き残っていた式神達が柳の周りに寄り添ってきた。柳はその小鬼たちに礼をいうと、右手の人差指と中指を立て口元へ寄せた。そっと念じると小鬼たちはシュルリと元の人型の紙に戻った。

 傷ついた雷獣は配下の妖怪達に取り囲まれながら、よろよろと北の空の彼方へと消えて行った。柳はそれを見送りながら、

「どうだ、常葉」

 そうつぶやくと、廃寺の方へゆっくりと歩いていった。



 その頃、常葉は遥か南の朱厳山しゅごんざんという霊山にいた。河童に頼んで、できるだけ遠くの水場に運んでもらったのだ。苔むした岩に囲まれた滝壺へ運んでもらい、河童と別れると、常葉は陸地へあがり、流れ落ちる滝に向かって、深々と一礼した。

(立派な滝だ。しばらくお世話になろう。霊力を安定させて、封印を強めなければ……)

 常葉は禊を始めた。滝に打たれ、無心になろうと努めた。神羅のこと、保見のこと、柳のこと、雷獣のこと。師匠のこと、父母のこと。白狐嬢のこと、箕狐のこと。全てが頭をめぐり、すっと消えていく。何も考えるな……無心に……無心に……。常葉の頭が真っ白になりかけた途端、急に声がした。


「おい……」


 カッと目を見開き、常葉は滝から出て、辺りを見回した。誰だ? こんな人里離れた山の中で声がするなんて……。


「ここだよ。ここ」


 また声がした。常葉は右、左と視線を泳がせて声の主を探した。ばっと後ろを振り返る。……誰もいない。常葉はまさかと思い、ぞっとした。

「気づいたかい? お前がしゃべってるんだぜ? オレの言葉をな……」

 常葉の口は、自分の意思とは無関係に言葉を発していた。

「へへっ……びびったか? お前の中の神羅様さ。自分の口が乗っ取られる気分はどうだい?」

 馬鹿な……と常葉は言葉を発しようとしたが、口はピクリとも動かない。しかし、常葉の声は神羅には聞こえているようだった。

「その気になれば、今すぐにでもお前の体を喰い破って外に出てやるんだがな……」

 何だと? と常葉は心の中で念じた。手足は常葉の思い通りに動く。動揺しながらも、常葉は川から上がって、水辺の岩に腰を降ろした。

「どうやら、保見は助かったようだぜ? ……あのうまそうな娘……雷獣に喰らわしちまうのはもったいないからなぁ……ほっとしたぜ」

 口はさらに続けた。

「あの柳ってやつ、流石は先代の弟子だ。雷獣を追い返しやがった」

 常葉は自分の意思に反してしゃべり続ける口をどうにか黙らせようと格闘を続けていた。

「オレは先代の封じ師の中にいたときからずっとお前らのことを見てたんだ……よぉく知ってるぜ……。お前も不思議に思わないか? なんで先代は柳じゃなくて、甘いお前を後継者に選んだのかって?」

 常葉は座禅を組み瞑想して集中しようとした。この口をどうにかして黙らせなければ……。しかし口はなおも続ける。

「間違いだったのさ。先代の選択はなぁ……。常葉、お前を選ぶべきじゃなかった。そうしなければ、オレが復活しちまうこともなかっただろうに……もう時間の問題だぜ?」

 常葉はじっと精神を静めている。常葉の口は、休むことなく様々な罵声を吐いた。それにいちいち腹を立てて集中力が欠ければ、霊力も弱まり、神羅が外へ出てしまうかもしれない。そうなれば神羅の思う壺だ。常葉は平常心を保つため、静かに瞑想を続けた。

「もうすぐだ……お前がどんなにあがこうと、オレの復活は時間の問題……じきにオレとお前の立場は逆転する……でもよ……お前をただじゃ殺さねぇよ? 苦しませてやりてぇからなぁ……」

 意地悪く妖怪は続けた。

「保見が気がかりなら、可愛がってやるよ……あいつがそばにくれば、オレの霊力はさらに増す。喰っちまえば大量の霊力を瞬時に吸収できるんだが……でもなぁ……それじゃあ面白くねぇだろ? どうすると思う?」

 常葉は目を閉じたまま険しい顔をした。

「オレは、常葉。お前のふりをして、お前の皮をかぶったまま保見と暮らすんだ。オレは人間をよく知ってる。色んな人間を腐るほどみてきたからな……。ようは、外見なんだよ……。保見が欲しいのは常葉の外見だ。オレはそれをくれてやる、そして……保見の本当の願いも叶えてやる……人間を皆殺ししたいって願いをな……」

(保見はそんなこと望んじゃいない!)

「ほぅ……やっと応えてくれたじゃないか……やっぱり保見のことが一番の気がかりか?」

(保見は、オレによく似ている……だから分かるんだ。保見が本当に望んでいることは、お前の言うようなことじゃない……)

「保見はオレが一流の妖怪に育ててやる……人を超越した存在となって、支配するんだ。きっと気にいるはずさ……今まで馬鹿にしてきた人間たちに復讐するんだ。そしてオレは、保見が望むことを何でもしてやる……常葉、お前の体を使ってな……。へへっ……どうだい? 保見は欲しいモノ全てを手に入れることができるんだ……。楽しいだろうなぁ。面白いだろう? まぁ、飽きるまでしばらく観察したら、美味しく喰ってやるがな……目に浮かぶようだ……あの娘の活き活きとした姿がねぇ……」

(馬鹿な……そんなことはさせない……!)

「まぁ、見てろって……これからもっと面白くなる……」



「柳さん……」

 保見は、気が付いたら廃寺の御殿の床に突っ伏して眠ってしまっていたようだ。外は暗い。どうやら早朝のようだ。傍らに全身泥だらけの柳が大の字になって眠っていた。ひどく疲れているように見えた。自分は助かったんだ……助けてもらったんだと気が付き、すうすうと寝息をたてる柳を見て、柳が無事だったことに安心した。「良かった……」保見はそっと眠っている柳に寄り添って横になった。温かい。保見は再び眠ってしまった。


 柳が目覚めたとき、保見は柳の胸にしがみつくような形で眠っていた。目覚めた一瞬、柳は驚いて飛び起きてしまった。しかしなおも柳の胸にしがみついて離れない保見を見て、柳はふふっと笑みをこぼした。子供は苦手だと思っていたが、自分にも懐くものなのか……柳は自分でも驚くほどに嬉しく思った。

 まだ目覚めない保見の為に、柳は再び床に横になった。すうすうと保見の寝息が聞こえる。しがみつく保見の胸から鼓動が柳の体に伝わってくる。

「そうだよな……怖かったよなぁ……」

 柳はそっと囁くと、保見の頭を優しく撫でた。

 こんなに幼い娘が、人間達から蔑まれ、妖怪達から襲われ、いったいどれだけの辛い想いをしてきたのだろう。霊力さえ持って生まれなければ、今頃同じくらいの子供たちと心置きなく大声で笑って遊んでいれただろうに……。

(──自分はどうだ? 霊力さえ持って生まれなければ……──)

 自分の内から柳自身に問いかける声を聞いたような気がして、柳は、ハッとする。霊力のない自分……霊力を持たない人生……。

「そんなもの、想像できないな」

 柳は無意識のうちに思考を口に出していた。

「まず、霊力を持たない僕なんて、僕じゃない。霊力がなかったら、師匠にも会わなかった。常葉とだって、……保見とだって……」

 そこまで言い終わると、柳はなるほど、と納得して言った。

「僕は、今の自分に満足しているようだね。それは、まぁ、良いことだろうね」

 もう一度、柳は保見の頭を撫でながら、言った。

「保見にとっては、どうしてやるのが一番幸せなんだろうね……。いつか保見も自分に満足できると良いのだけど……」


 太陽が地表を照らし、古びた戸口の隙間から眩しい日差しが差し込むと、やっと保見も目覚めた。

「おはよう」

 柳の言葉に、保見は満面の笑みを浮かべて、

「柳さん、ありがとう」

 と言った。

 二人は廃寺を後にした。とはいっても、別に行くあてがあるわけではなかった。妖怪達に目をつけられてしまった保見を人間界に送り出すことは不可能となり、保見の引き取り手候補だった旅館への旅は無しになった。これからどうするか、と頭を悩ませていると、


ぐぅ~~……


 保見の腹が鳴った。柳と保見はさっと顔を見合わせると腹の底から可笑しさがこみ上げてきて、一緒に大笑いした。

「とりあえず飯だな。腹が減るのは生きている証しだ」

「うん! でも柳さんはご飯の前に、着替えが必要だよ? 泥だらけだもん」

「確かに。これじゃ、飯屋に入れてもらえないかもな」

 二人は晴れ晴れとした表情で歩きだした。

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