第58話 寝取られは絶対許さない……かも?
付き合えることが確定したと喜んでいた美玖に怪訝な表情を向けながらも、その言葉の続きを待った。すると言いにくそうにしながらも美玖は続きを話し始める。
「本当は、茜もアンタと付き合いたかったんじゃないかなって……それなら抜け駆けみたいなことして悪かったなって……でも、これは恋愛なんだからグズグズしていたあの娘が悪い!うん、私は悪くないッ!」
「……開き直りはえ~よ」
「別にいいでしょ?私は、アンタのことが好き。今まで会ったどんな男達よりも魅力的に見えるんだから、逃がすなんてことは絶対したくないもの」
「お前は肉食獣か何かか」
「フン、それならアンタはさながら草食動物ね……夜は違うけどね」
美玖は発言だけでなく恥じらうような視線をむけながら躊躇うように話す。美玖は頬を頬を赤く染めて辰馬の視線から逃れようと俯くが、ショートカットである彼女の髪では顔が全て隠れることはなく恥ずかしそうにしている顔がハッキリと辰馬から見えていた。内心可愛いと思いながら、辰馬は口を開く。
「それは言わないでくれ……」
「……なら少しは手加減しなさいよ」
「それは無理な相談だ。そもそも手加減したところで、その敏感すぎる身体は何しても……なぁ?」
「そんなことは……うぅ……認めるわよッ!そうよ、私は敏感すぎて、直ぐに絶頂しちゃう淫乱な女よ!」
「そこまでは言っていないだろ?それに淫乱なのはどちらかというと茜さんの方だからなぁ……そうだな精々エッチが好きな女の子くらいじゃないか?普通だよ、ふ・つ・う」
「……何か癪に障る言い方だけど今はいいわ。私これから仕事があるから、もう帰るわ。放課後付き合わせたお礼にジムまで送ってあげてもいいけど?」
「そうか、お言葉に甘えて同乗させて貰うわ。助かるよ、美玖さん」
「ちょっ、そ、その笑顔は反則よ!私の前で不意打ちのように笑わないでよね!」
「理不尽な……」
元来仏頂面な辰馬は、美玖や茜のような屈指の美少女と一緒にいるだけで更に緊張するのだから、平常時に笑顔を見せることが少なかった。少しずつ美玖本来の性格が分かってきて強い気だけれども可愛いところがあるところに益々惚れていきていたころから零れた笑みだったのだが、美玖からすれば破壊力抜群であった。
口調は怒っているように聞こえるが、表情は嬉しそうであり辰馬に自身の緩んだ顔を見せたくないのか、くるりと後ろに振り返った。
「マネージャー待たせているし、グズグズしていると置いて行くわよ」
「……了解」
辰馬と出会ってから、元々仕事においても品行方正な美玖に変化があった。彼と出会ってからというものの仕事詰めの毎日であったのに、余暇を欲しがり今月、そして来月以降のスケジュールに大幅な変更があった。その時間を有意義に使いたい美玖は辰馬をデートへと誘う。
「ねぇ、アンタ来月夏休みじゃない?私とデートしなさいよ」
「いいぞ?でも、ボクシングの大会終わったらな」
「それで構わないわよ。仕事に集中したいっていう気持ちは私もよく分かるもの」
「……美玖さんは学校と仕事兼業しているのに辛そうに見えないの凄いな」
「ふふっ、そうでしょう~。まぁ色々とストレスあるのは確かだけど、学校生活なんてもう訪れないものだから毎日を大切にしたいのよ」
「……そうか」
「アンタは学校楽しいの?」
「俺か?ん~まぁそこそこ?」
「そこそこね……なら、これから私がいるからアンタは薔薇色の学園生活になるわね」
「……美玖さんらしいな」
校門前で美玖を待っていたマネージャーの車に同乗した美玖と辰馬は、後部座席で再び話を始めた。学校内ではどこに生徒や教員の目があるから分からないので、屋上以外では話す事は無かったが、車内では別なのである。人目を気にしなくていいのだから美玖が辰馬の腕を自身の控えめながらも確かな柔らかさを感じる胸に押し当てる。
傍から見ればただのバカップルであるのだが、意外にも二人とも自然であった。これが茜なら変なところで恥ずかしがったりするので、女の子でも色々タイプがあるのだなと感じていた。
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