第11話 ちょっとついてきいや
全体楽曲が終わったらトライスターズの3人もここに戻ってくると思いきや、段取りの都合上ここには戻ってこないらしい。朝のわちゃわちゃした楽屋と対照して一抹の寂しさを覚えつつも、試験勉強を進める。
「うーん、わっかんないなあ」
数学はいったんやめにして、別の教科でもやろうか、そんなことを考えていると──
「いや~ここがトライスターズの楽屋か~。おっきい部屋もらってさすが人気ユニットやな~」
「ちょっと!さすがに楽屋物色はまずいですって!」
扉の向こうから声が聞こえる。まずい、ここに知らない人が来られるとまたあらぬ疑いが…!
「大丈夫やって、みんなステージ裏に集まってるから今楽屋にはだれもおらんし」
「そういうことじゃないですよ~もう…」
「ほら、邪魔すんで~」
そうすると、勢いよく扉が開き、別の衣装に身を包んだ2人組が現れた。
俺はどこかで聞いた常套句をとっさに返す。
「邪魔すんねんやったら帰って~」
「はいよ~……ってええええええ!?!?」
これ本当に引っかかるんだな。
-----------------------
「なんやそれ、ライブ会場来てまで勉強してるって、もったいなさすぎるやろ!」
「ほんとですよ。せっかくのアリーナなんだから、少しは楽しんだほうがいいんじゃないですか?」
すべての事情を説明し終えると、関西出身の声優、
「いや、俺も試験がなかったらちゃんと初めから終わりまで見てたかったんですよ。でも、試験が近いから…集中しないと間に合わないんです」
「試験は大事やけどさ、ライブは今しか見れへんねんで。勉強ばっかりしてたら息詰まるやろ?」
神崎さんはそう言うと、ニヤッと笑って俺の手を掴んだ。
「え、ちょ…ちょっと!」
「ええから、ちょっとついてきいや!」
内田さんが「彩花さん、また強引に…」と呆れた声を上げる中、俺は半ば強制的に楽屋から連れ出された。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます