第6話:名誉回復とリバランシング
青山翠雲氏は、売上500億コスモオイロを持って、一度、惑星“エーアデ”へ戻り、仕入れコスト300億コスモオイロの支払いと差分を利用しての借財900億コスモオイロから700億コスモオイロへの減額証明書を受領した。
裏でのルートとはいえ、自国の60%精製スペルマが高値で売れる、しかも、惑星ガミタスの政情および性情安定化に寄与したとあって、
これで、青山翠雲氏は、再度、地球の危機を救い、名誉を見事回復。まぁ、激しい交渉と出国検査はあったが、これも国家、いや、3つの惑星間を超えたミッション遂行のためには、避けて通れない任務であったと自分に言い聞かせて、墓場まで持っていくつもりであった。帰路の地球への船内では、青山翠雲氏はやたらと「男はつらいよ」の歌詞を口ずさんでいたとのことである。
地球に帰還してみると、状況もいくつか好転していた。ガミタス星人の良いところは、とにかく従順で、人がやりたがらないとする労働も進んで行うことだった。この点、ガミタス聖人と呼ぶ声も多く聞かれるほどであった。やはり生存がかかわってくるとなんとかしようとするのが人間であり、またガミタス星人の一つの美徳というかこれまた刷り込まれたDNAなのか、人がやりたくないと思う農業への就職希望者が急速に増えてきていたのである。絶世の美男子と美女が額に汗して作物を作り、収穫を喜び、子だくさんの笑顔溢れる家庭の姿は、都市部への一極集中が進んでいた人口の農地が広がる地域への拡散を促し、日本の米は地球、特に日本の特産品として広く海外ばかりでなく、惑星ガミタスへの(加工は惑星“エーアデ”であったが)持続可能な主要輸出品とまでになった。これにより、貿易収支も急速に回復し、順調な惑星エーアデへの宇宙債務履行も完済に向けて軌道に乗り始めていた。
マグナム44は必要最低限の200本しか入らなかったが、これで良かったのだ、と翠雲氏は結論付けていた。あれが1万本も地球に入ってきてしまっては、また風紀が乱れ、男子の精子がもたらす厄災が増えるばかりであったろう、と推論していた。
ただでさえ、原子爆弾、水素爆弾、中性子爆弾だと各核爆弾の扱いに困っているのに、あれが大量に出回って、各人が波動砲をぶっぱなすような事態になっては、ある意味、本当に本当に猿の惑星になってしまうであったろう。核兵器も人間が生み出してしまった厄災のものであり、平和利用できれば、価値もあるのだが、それ以上に危険性が高い。同じことは、男子の業とも言える精子にも同様の危険性があるような気がしていた。
一方、一時心配された地球人とガミタス星人との間に生まれたガミタス星人ハーフ男子の旺盛な性欲と食欲であったが、生物学者曰く、世代が進むにつれて、クォーター、ワンエイスと進むに連れてその特性も薄まっていくであろうし、今の草食化が進んでしまったから考えれば、ちょうど良いのではないか?との見解だった。
心の平穏を得た青山翠雲氏、さて、今日は日本酒の冷酒でもいただきながら、締めにとろろ蕎麦でも食べようかな、と街へ繰り出す。
美人の給仕がお通しの溜まり醤油漬けらっきょうとキリリと冷えた辛口の日本酒を運んできてくれた。なんだか、波動エンジンの燃料にこれまたなりそうな、精力のつきそうな見事ならっきょうであった。ついお酒も進んでしまう。
おっと、5本も書こうと思っている小説作品があるのに、またもお酒飲んでしまっては、また延びちゃうなぁ。まぁ、いいか。作品が出来上がるのは延びても、とろろ蕎麦は伸びないうちに、来たら打ち立て茹で立てのを食べないとな。
そんなことを思いながら、蕎麦を待っていると、厨房からこんな会話が聞こえてきた。「何やってんだ!茹で上がりを冷水で締めたてのを持っていかなかったら、蕎麦が伸びちまうだろうが!こっちは必死に命削りながらやってんだから、余裕はないんだよ!オラ、早く持っていかないんだったら、こうしてくれる!」「キャー、ヤメテ―!」
なんだか、どこかで聞き覚えのある内ゲバだ。ここの蕎麦屋はなんという店名だったか!?「ん?日本酒と蕎麦の
翠雲氏は、あの美人給仕が一体、どんな姿でとろろ蕎麦を持ってきてくれるのか?テーブルを若干、傾けてしまうほど身体の一部分を凝固させつつ、固唾を飲みながら厨房の出入り口を凝視していた。想像は爆発だ!とどこかで聞いたことがあるが、その姿を想像するだけで、らっきょうによる増殖効果もあり、蕎麦が来る前に最早、濃厚なとろろが出てしまいそうだった。。。
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