"ただいま"はまだ言えないから
朝日が登るまで時間がないわ
夜が夢をくれるうちに
扉を開けなければ
朝日が連れてくる空っぽな朝
ちっぽけな自分を思い知らされて
焦燥感で記憶を手繰り寄せる
記憶じゃない 感情よ
握りしめたのは空虚ばかりなのに
手放すのに時間がかかったの
雲が空を覆い
ひんやりした風に鴉が鳴き続ければ
物語が始まるんだわ
思い込みは自分を縛るけれど
それに甘んじるのは心地が良い
残ったのが綺麗なもので
あればあるほど苦しむのは
ねぇどうしてかしら
だってそれはほら
なにもかもあるけれど
一番欲しいものが無いわ
そう 貴方がいないわ
あの日の焦げた道が脳裏をくゆらせても
焼け付くこの道を駆け抜けて
夢の副作用が顔を出しても
転んでも見苦しくても前だけ目指して
だって私には選択肢が無かったから
熱というのはいつかは冷めるもの
物理学の法則は正しいけれど
私は命を燃やして貴方を想い続けているの
世界が落ちてきたら
私はぐるぐる後ろに倒れ続けて
繋がる出口を手探りしながら待つのよ
いつまでも待つつもり
きっといつの間にか走り過ぎたせい
世界が私に追いついたら
ただいまを言うの
だってこれは
二度覚める夢の中だもの
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