モーニングルーティン

 ――なんてタイトルで始まる今回の話だが、よくネットにある小洒落たものではない。ただ私が朝に行う決まった一連の行動だ。


 朝、目を覚ましたらリモコンで部屋の明かりとテレビをつける。特にテレビは実家にいた頃からの習慣で、見なくてもつける。一度、電気代のことを考えてテレビをつけないで一日過ごしてみようとしたら、時間感覚が全くわからなかったのだ。そうはならんやろ。なっとるやろがい。スマートウォッチで時間はわかる。でもテレビのニュースが流れてくると、だいたい朝で、昼で、夕方なのだ。私はテレビで時間感覚を掴んでいると言っても差し支えない。


 次に枕元の眼鏡をかける。もはや眼鏡は顔の一部である人間だからだ。たまに夜中に目覚めてトイレに行きたくなるときもあって、面倒なので眼鏡をかけないで動いたりすることもあるが。一時期コンタクトを使っていたこともあるが、手先が不器用すぎて着け外しにやたら苦労するのでやめてしまった。

 それに「外部パーツで身体機能を補っている」と思うと、自分がサイボーグになったような気がして面白い。


 眼鏡をかけたら早々にベッドから出る。これはベッド=寝る場所、と脳に覚え込ませるため。これを習慣づけてから体調がいいような気がする。たぶん。


 次に水分補給。寝ている間に口や喉が渇いているからだ。水道水を適当にタンブラーで汲んで飲むことが多いが、今の時期はたいてい寝る前に麦茶を仕込んであるのでそれを飲む。


 それからトイレに行った後、キッチンで煙草を吸う。この辺で脳がようやく起動してくる。ぼんやりと換気扇に吸い込まれていく煙を見ながら、「今日は何をする予定があったっけ」などと考える。


 戻ってきてパソコンの電源を入れる。起きていて家にいる時はほぼパソコンの前で過ごす人間だからだ。起動したらまずGoogleカレンダーを開いて、今日の予定を確認する。何も予定がなかったら、適当に暇つぶしをするため、YouTubeで面白そうな動画を探したり、SNSを見たり、電子書籍を読んだりする。


 それが一段落したあたりで空腹を感じるので、何か食べるものを探して冷蔵庫を物色する。なにぶんキッチンが極狭なので、自炊は半ば諦めている。

 少し前にフライパンを買ったはいいものの、まだ出番がない。冷凍パスタを買い溜めてあることが多いのでそういうものを適当に温めて食べる。


 栄養が偏っているのは重々承知なので、マルチビタミンやプロテインでどうにかしている。たまに「人間用の完全栄養食はないのか」と考えてしまうが、多分あっても飽きるだろうし、そんなディストピア感は日常に取り入れたくない。

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