ハーレム、チート、無双
死刑囚は超危険ですが滅茶苦茶強いのはフィクションの中だけの話です
死刑囚、と聞くとどんな人間を想像するだろうか。
滅茶苦茶恐い。そりゃそうだ。
人間の道徳が欠落している。正解に近しい。
凄く強い――いやそれは待った。
確かに偶に、超強い危険人物が脱走して、みたいな設定は見かけるけれど、実際死刑囚がそこまで強いかと問われると疑問符を返す他ない。
魔法が存在する世界の住人だったり、殺しを生業としている稼業の人間なら強いかもしれないけれど、普通の死刑囚というのは結局一般人とそう変わらないもので、ただ死刑に値する罪を犯したか犯していないかの違いしかない。
実際に死刑囚を戦わせたところで、プロの格闘家にはまず勝てないし、武術を習った一般人にも呆気なく負けるかもしれない。そんなものなのだ。
問題は、罪に対する意識の違い。常人とされる人間との道徳の差異。己に対する価値観。社会に再度投入しても問題ない思想の有無。
大きく分けてもこれくらいだろう。
だから、普通に考えたら死刑囚なんて怖くない。
いざとなった場合に簡単に他人を見捨て、蹴落とす事を厭わない究極の自己中人間とでも思っておけばいいと言うのが、
ここだけの話、〖アラハバキ〗顕現直後に父の命令で何度か死刑囚とやり合った経験もある結城からしてみても、人を殺した経験があって道徳と倫理観が欠如しているというだけで、強さとしては普通の人間と大して変わらなかったどころか、何の経験にもならなかった。
結局、人を大量虐殺したから強い、という計算は成り立たない。故に死刑囚、イコール強者という数式も成り立たない訳である。
ただし何事にも例外という名のご都合主義は用意されている訳だし、何よりこの小説は魔法あふれる世界の魔導騎士が活躍するファンタジー世界なので、死刑囚が絶対強い数式は成り立たずとも、強過ぎるあまり死刑囚になってしまった輩と言うのが一定数いてしまうのである。
そんな持論を並べる結城は今、ヴィオラ・ストラディヴァリ王女と部屋のテレビで死刑囚集団脱走事件のニュースを見ていた。
『――繰り返し、お伝え致します。昨晩日本の刑務所から、五人の死刑囚が集団で脱走し、現在も行方を眩ませています。中には五年前の通り魔殺人事件の
「この真柄って奴、そんなに不味いの? 他の人は名前こそ出てるけど、この人ばっかり注目されてるって言うか」
「そりゃあそうだ。
「そんなのが何でまだ生きてるのよ。幾ら日本と言っても、そんな危険人物さっさと執行した方が良かったんじゃないの?」
「したよ、もう」
「はい?」
「真柄弘の死刑は、確定してからすぐ執行された。だけど過去三回の死刑を、どういう訳かあいつは生き延びたのさ」
「そんな……どうやって」
「さぁ? でも日本の死刑執行方法は首吊りだけ。それが通用しない以上、日本には奴を殺せる法律がない。そんな訳で、死ぬまで独房に閉じ込め続ける事になった訳だけど……一体誰が出したのやら。万が一って事もあるから、姫様もこいつの顔よく憶えておきな。当時殺された魔導騎士はみんな、
「ただの日本刀に?!」
「そだよ。しかも三三人斬った後の、ガタガタの刃でさ」
などと脅かしていると、理事長から呼び出しのメールが届く。
用件は言わずもがな。確実に死刑囚脱走事件の件だろう。
必ずしもヴィオラ暗殺。もしくは結城暗殺に繋がっているという訳ではないだろうが、一昨日締め上げた
警戒するに越したことはあるまい。
というか、これで警戒していなかったらストーリーが進まない。
他の四人に関してはあまり知らない部分も多いので、読者には新たな敵キャラの紹介ついでに記憶して貰うとしよう。
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