エルフさんは宇宙の海を自由に泳ぐ

@kagetusouya

プロローグ

これは少しだけ未来の話

まだ不遇な中で過ごす少年が、使えるべき主人と出会えないメイドが出会い一人の少女が救われた後のお話。

いづれくる未来のお話。




「見渡す限り敵ばかり、攻撃する対象には困らないね」

宇宙戦艦のブリッジで僕は周りを見ながらそう笑うと同じくブリッジに乗っている5人のメイドと1人の少女も気負った様子はなく笑う。


前方、人類の天敵と言われる宇宙生物

後方、俺達に戦争の参加を願っておきながら後方から僕たちごと打ちぬこうとするロウゾン帝国の駐留部隊

周りを見れば腰が引けてる傭兵部隊


「さてさてどうする命令は2時間の戦闘行為だっけ?2時間すれば各々勝手に後退しなさいとか命令?」

「雑な命令でございますね、あまり気にせず2時間生き残ることを優先いたしましょう」

そう言ったのはメイド長であるアキだ。

いつもクールな彼女だがその目には少しだけの不安感が見える。


「ご主人様少しでも疲労を感じたらすぐに戻ってきてくださいね」

僕の体調管理をしてくれているハルはそう言って心配そうな顔を向けてくる。


「ご主人様、アメノハバキリ2型の整備は完璧です……必ず戻ってきてくださいね?」

僕の乗る人型兵器の整備を担当してくれているナツがそう言ってくれる。


「ご主人様、ご武運を」

僕の身辺警護を担当してくれているフユがそう言う

彼女はいつも通りだ、その落ち着きが僕も落ち着かせてくれる。


「いってらしゃいませ旦那様」

「その、旦那様お気をつけて」

僕の婚約者であるユナとそのユナのメイドであるリリーが頭を下げて見送ってくれる。

自分よりも随分幼いユナから旦那様と呼ばれるのはちょっとだけまだ慣れていないが前日に僕が失敗したことでユナは心配なのだろう、僕は膝を折ってユナを抱きしめる。


「行ってくる、安心してよ、僕は君たちに選ばれたんだから最強だよ」

ユナを離して立ち上がると格納庫へと向かう。


格納庫には人型兵器であり、僕の相棒であるアメノハバキリ2型が鎮座している。

「いこうか、相棒」

アメノハバキリ2型のコックピットに乗り起動する。

「ご主人様、発進どうぞ」

「わかった、アメノハバキリ2型クラウ・ソラス装備で出るよ!」

さぁ、戦おう。

全てを守ることは出来ないが僕の大事な人を守るために……


======

「ご主人様、1時間が過ぎました」

アキの声が届く、状況は良くない。

戦闘開始5分もかからずに傭兵達は戦意を喪失、後方に逃げようとしたところを後方にいるロアゾン軍から砲撃され傭兵達は逃げることが出来ずに攻撃を受けた。

結果敵がいる前にしか進むことが出来ず、進んでもまた後方から攻撃をしてくるためどんどん傭兵軍全体が敵陣に向けて突撃するような形になった。


「どうしますご主人様?私達なら砲撃を受けても無傷で済みますが」

アキの言葉に簿k府考える、このまま1時間生き残り後方に下がることは可能だろう、だがそれでは面白くない。

「アキ、こういうことは出来るか?」

僕の出した計画にアキの可能だという返事が返ってくる、ただ…と


「ただ、このままでは難しいでしょう、この計画の為には傭兵が全て前進する必要があります。今の状態では私達以外が前進するのは難しいかと……」

なるほど、確かに傭兵部隊の士気はすっかり落ちて殺されるのを待つままになっている、

こいつらの士気を上げないと、さらに言えばできれば僕らの指揮下に収めないと難しいか。


「ご主人様、こんなこともあろうかと一つのプランがあります、帰還してください。」

整備を担当してくれているナツからそう通信がくる。

その言葉一度言ってみたいって言ったね、言えてよかった。


「わかった。一度戻るよ」

ナツの言葉にそう答えて僕は一度みんなが待つ船に帰還する。

「それで僕はどうすればいいの?」

「そのままお待ちください、アキ、そこのボタンを押して頂戴。」

ナツに指示されてアキがボタンを押したのだろう、急にみんなが乗る船がその姿を変えて人型になる。

その中央部分に僕が乗るアメノハバキリが収納されると僕はみんなが待つブリッジへと移動していた。


「ご覧くださいご主人様、これがアメノハバキリとアメノハバキリ運用艦ノヴァを合体させることで200メートル級の人型兵器として運用する新システムです!」

ナツが嬉しそうなのはいいのだが、わざわざ合体する意味はあったのだろうか?


「はい、現状で傭兵の士気は壊滅状態です、ですがここで目立つ活躍をすることで、傭兵達の士気を高めて、生き残りたければ自分たちの指揮下に入るようにと通信をします。そうすることで全員は無理でも多くの傭兵が生き残れると思えば勝手に指揮下に入ってくるでしょう。私達の戦果をわかりやすく示す為に巨大人型兵器化し、視線を集めて強烈な一撃を放つことが大事なんです。ぶっちゃけアメノハバキリとノヴァ、それぞれ別々に運用した方が戦果をあげられるんですけどね!」


なるほど、ならばナツの要望に応えて派手な戦果を挙げるとするか……

「ナツ、ノヴァの主砲にエネルギーを僕が直接注いで敵陣を切り裂くよ、アキは戦場全体に通信を、生き残りたい傭兵は自分たちの後方に付くようにと、前方からの攻撃は僕たちが受けるとも伝えて」

僕の指示に合わせて忙しく仕事をこなすクルー達。

そんな最高の仲間と共に戦場を、宇宙を駆けれるのが楽しくて僕は自然と頬を緩ませながらテンションが上がってしまう。


「さぁ、それじゃあ一つ伝説でも作るとしようか、皆!」

これは後世において実際に起きたことなのに決して認められない物語のような出来事であり、主人公であるリスタと呼ばれた少年が宇宙を駆ける物語。

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