第10話四人目の転生者
「おはようございますシスター様」
「あら、おはようございます、今日も頑張って下さいね!」
ニッコリ笑顔で街ゆく人を見送る。
私はマリア・グレイス・グランヴェル。
このグランヴェル王国を収める国王の娘です。
末娘なので、甘やかされないようにと幼少の頃から王城の目と鼻の先にある聖教会でお手伝いをしています。
だからお仕事歴15年のベテランですね。うふふ。
私のお仕事は、今もしているお掃除とお祈り、そしてこの王都セレスティナに点在する教会支部へのお手伝いなどなどです。
まだ小さい時に、王城の外に楽しい事がないのかと思い、ドキドキしながら教会を脱走してみました。
その脱走は、それはそれは楽しい大冒険でした。
そしてその大冒険は、私は一人ぼっちという事を実感させられるだけの弊害も待っていました。
だけど、私はラッキーガール!
目の前でこっちの世界では無いはずの鬼ごっこをしている三人組を発見。
父上の両腕と言われるアイゼンシュタイン公爵の五男とドゴール公爵の次女、そしてこの町有数の商人であるアストール商会の五男が一緒になって遊んでいました。
私は記憶力がいいのですよ…………転生者さんたち。
「なあニース!リクはどこに行った?」
「知らないわよバルク。あんた私ばっかり見ているからでしょ!」
「だって、男をみるよりも女の子を見ていた方が好きなんだもん」
「それじゃあ鬼ごっこにならないでしょ!リク~一度タイム!このバカバルクがボーっとしてたの!」
「じゃあボクが鬼になるから、二人で逃げてよ」
「うしッ」
「牛じゃないでしょ!ちゃんと逃げるのよ!」
「ねえ、わたしも一緒に…………遊んでいい?」
「え!いいよ!一緒に遊ぼ!ボクはリク、君は何て名前?」
「え?…………あ、私……グレイス!グレイスって言うの」
「じゃあグレイスよろしくね!」
よろしくね
よろしく
よろ……
「…………さま」
「……じょうさま」
「お嬢様」
「お嬢様!どうかしましたか?」
「は!…………いいえ、少し昔を思い出してました」
もう少し昔の可愛いリクを見たかったのに…………
「何でしょうかノア」
「いいえ……さっきからゴミをまき散らしております」
「……………………はッ!」
足元を見れば、集めたごみを再びホウキで撒き散らしておりました。
「この事は内密に……」
「はっ御意」
このノアは私の専属執事。そして護衛と言う立場でいつも金魚のフンみたいに私の後ろを付いてきます。
もうそろそろ大人と言うのに、付いてこなくてもよろしいのですよと何度も申し上げたのですが……
『いいえ、護衛ですので』と神父見習いと言う誤魔化し方を覚えて王城から出ても私に付いてきます。
今日も教会の前を掃く私の背後で、私の影のように見守るノア。
もう、慣れましたけど…………もう一度掃き掃除のやり直しです。
朝の掃除、御祈り、そして教会教皇の大事なお手紙を王都に点在する教会支部へ持って行きます。
「ノア、馬車を」
「お嬢様、どの馬車を使いますか?」
「
「はっ今しばらくお待ちになられて下さい」
城の馬車を使っても良いけど、キンピカ過ぎて可愛くないのよね。まだ、教皇さまの馬車の方が、真っ黒で良いわね。クッションも良いし。
私は大切な書類を持って支部へと向かう。
早くメールが出来ないかなぁと思いながら。
今度リクに相談してみよう!昔から手先が器用だったから、パソコンくらいパパッと作れるのかもしれない!
「うふふ、まさか近衛兵の案件は全てリク君に仕事を回してと言ったのが、私だとは思わないわよね。お
そんな事を考えながら点在する教会へ、大事な封筒を渡していく。
そして幾つかの教会を周り、最後にスラム近くの教会へと向かっていた時だった。
道順の関係で教会裏から回って表へと出る道順だったのですが、教会裏に出た所で子供が倒れていたのです!
「ノア!止めなさい!」
二頭立ての馬車が倒れている子供の横で停まりました。
ノアが扉を開けるよりも早く馬車の扉を開けて地面へと降り立つ。
「君!大丈夫?!」
うつ伏せに倒れていた子供は、口から泡を吹いて倒れていた。
まだヒューヒューと息があるのを見て、私は回復魔法を使った。
「ヒール!お願いっ」
倒れている子供に手をかざすと、淡い光りに子供が包まれる。だけど、怪我でも無く、病気でもない子供は、何度もヒールを唱えても、少しずつ息が細くなり、そのまま動かなくなってしまった。
「お嬢様…………子供は息を……」
「分かっています」
「……この子供は、毒物か何かを飲んだんだと思われます。だから回復魔法が効かなかったのでしょう」
「キュアー系の魔法を覚えていない私では無理ですね。精進しなければ。私の仕事は、ただ祈るだけではない。人の苦しみを見て、抱きしめること。それが“聖女”というものなら……私、まだまだ未熟だわ。ノア、教会と騎士団に連絡をします。馬車を表へ」
スラムにある教会とは言え、それなりの広さがある教会表へと馬車を回し、出て来た若い神父に事の流れを説明します。
「それは大変でしたな。聖女様の思し召し、いつも神は見届けていますよ。では御遺体を裏手へと運ばせましょう」
私は指示を出す若き神父に預かった封筒を渡し、紅茶を飲みながらノアが近衛に連絡してから戻るのを待っていた。
古く大きな教会。
そこに訪れる人も少なくなっていると聞く。
裏手には食料の貯蔵庫やワイン製造の施設もある割と大きな敷地……
全て恵まれないスラムの為にとなっているのですが、本当にスラムは改善しているのでしょうか……
「おや、暁の聖女様がお出ででしたか」
礼拝堂の横にある待機所で紅茶を頂いていると、でっぷりとした体格のマキレス司教さまが現れました。ここの管理者なのですが、余り好きになれません。
私の手を取り挨拶のキスを手の甲へとしようと……だが、させません!
サッと手を引くとマキレス司教へと言い放ちます。
「ここへは王女としてきたのではありません。挨拶は結構です」
「それはそれは飛んだ失礼を」
ニヤニヤしている。
表ではスラムの子供たちを保護する「慈愛深い司教」のはずだけども、その顔は二人っきりの時はいつもは見せないイヤらしい顔で私の盛り上がった胸を遠慮なく見るマレキス司教。
余り気分の良い物ではありません。
そこへ丁度のタイミングでノアが帰ってきました。
「ただいま戻りました。近くの近衛詰所に報告しました。じきに近衛が参るでしょう…………あ、来たようですね」
ドタドタと言う足音が幾つも表から聞こえてきました。
「ノア、戻ります。後は近衛兵に任せましょう」
教会の表へと出る。そこで待っていた馬車へと乗ろうとする私にノアが声を掛けて来た。
「お嬢様、バルク殿とリク殿が到着したようです」
「…………少し現場検証をお手伝いします」
馬車に当てていた手を放し、表から出て裏へと早歩きで向かいます!
ああ!もうなんでこのシスターの服は動きにくいのでしょう。肌を見せないようにと言うのは聖職足る者、理解は出来ますが、余りにも身体にフィットしているために、出ている所が丸わかりで、走るのがつらいですぅ!
大きなお肉が動いててじゃまですぅ!
「ああ!リクくん! バルクも来たんだ!」
いつの間にかスカートを少し上げて走っていた私は、目印の大きなバルクの横に立っていたリクへ手を振り近寄る。
二人共頭が上下に揺れていた。
私の動きと一緒に……
そんな事どうでもいいわ!
「いらっしゃい!私が第一発見者よ!リクくん!」
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