『ファウスト~オペラ座の怪人より~』J&午後日和(&神楽鳴&青色矮星&れるく&ヘル)

J

「豪奢なベッド、眠る貴女。ご機嫌はいかが?」


午後日和

「此処は何処かしら?見知らぬ部屋。」


J

「誰よりも高貴な姿をした女性。」


午後日和

「蝶番を外して、辺りを見渡すの。ふと、恐怖が胸を打つ。」


J

「古城に在るのは罪悪を犯した、蝋燭の使徒。」

「讃美歌を綴った、歓声の渦中に私は座る。」


れるく

「透明な噴水を見上げた。囚われの姫、想い出せぬ記憶。」

「さ迷えど手掛かりは、見つからず。」


J

「誰からも見捨てられた。蜘蛛の毒が背後から忍び寄る。」


午後日和

「どうか帰らせて、大切な人が待ってるの。」

「閉鎖された扉。蹲る身体を彼女に抱き寄せられた。」


J

「さあ、私の口付けを受け取って。共に踊りましょう!」


「糸で操るマリオネットは、仮面舞踏会に怯え。」

「首筋に噛みついた、私から逃れようと悲鳴を上げるの。」

「トランプの裏に描かれた、二人のQueen。」


午後日和

「お願い。帰り道を教えて…。」


J

「逃がすわけがないわ!」


午後日和

「戻らない記憶にも、きっと貴女は居ないから。」

「愛しい人の傍で眠らせて…。」



J

「疎まれて、いつしか死骸の山が出来たわ。」


午後日和

「強き女性ヒト。殺戮の番人。」


J

「この場所で善の心も知らぬままに。」


午後日和

「裁き続けた彼女からは、血の香りが。」


J

「長年に渡って、使者死者を葬る姿を恐れられ。」


午後日和

「罪人と同じ轍と。神々からも寵愛を受けられずに…。」


J

「そろそろ、気付いたでしょう。誰よりも甘美なヒト。」


ヘル

「十字架の刑に掛けられた。地獄の番人が手に入れた、姫君は。」

「触れた彼女から哀しみを受け取って。」


J

「此の場所は、私の仮面を剥ぎ取る獣が。蔓延るだけの地獄。」

「もう分ったでしょう。貴女は私に連れ去られたジョーカー。」

「天使達から奪い取った花。」


「本来は、天国へ旅立つはずだった…。」


午後日和

「ねえ、私に出来ることはあるかしら。」


J

「まだ戯けた事を言うのね。」

「早く出て行きなさい!」


午後日和

「化け物の巣食う城で、生きてきた。」

「可哀想な貴女を救いたい…。」


J

「どうして、優しく嘘を付けるのかしら?」

「貴女を手に入れてしまえば。この胸の騒めきも知れるの…?」


「血潮の海で眠り続ける。私の本心を暴かないで。」

「誰にも愛されずに此処で生きていたいの。」

「暴君と恐れられた地獄の裁判官。」


「ガラスの縁で笑みを浮かべる。」

「愛した人の元に帰りたい筈の貴女が!」


午後日和

「幼子の様に泣き腫らした瞳。」

「死んでしまった私の魂でもいいなら、寄り添っていたいわ。」


J

「幾重も連なる涙、シャンデリアの輝きに反射して。」

「恐れられた化け物の仮面は剥がれた。」


神楽鳴

「天使達が姫君に囁く。哀れな番人を癒せと。」


青色矮星

「幕引かれた、後の世界。俺達でも計り知れない。」

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