第39話「廃墟区域ガンマ3──命名狩りとの激突」

──廃墟区域ガンマ3。

 かつて企業連合の実験都市だったその場所は、いまや違法スキル者と抹消対象がひしめく“無法地帯”と化していた。


 風見レンたちNull-Classは、アーク・ブランク救出のため、この区域に足を踏み入れた。


「警戒して進もう。相手は《エラッタ》……命名者を狩る組織だ」


 ミオが端末で区域マップを投影する。


「アークの最後の信号は、この旧管制塔ビルから。制圧部隊との交戦痕も検出されてるわ」



 廃墟の中、レンたちは罠や妨害スキルを突破しながら進んでいく。

 途中、無言の黒スーツ集団に囲まれるも、共鳴スキルで応戦。


【風見レン:共鳴起動イグジスト・コール

【効果:存在認識強制展開(周囲の命名未了存在を可視化)】


「“名前”のない連中は、俺には見えてる……!」


 そのスキルで索敵しつつ、戦闘を切り抜けていく。



 やがて、最上階の制御フロアに到達。


 そこには、半壊した機器に囲まれたアークの姿があった。

 彼女は拘束されながらも、仮面の男たちに毅然と睨み返している。


「名を持つことは、罪じゃない……!」


「黙れ。“空白”の名など、社会の誤記そのものだ」


 エラッタ幹部の一人、《コード・バグ》が冷笑を浮かべる。


 そのとき、フロアの扉を蹴破ってレンが飛び込んだ。


「その言い草……“名乗る自由”すら否定するってんなら、正面からぶっ壊すまでだ!」



【戦闘開始:Null-Class vs 命名狩り《エラッタ》】


 ミオとレンが前衛、シオンは後衛からサポート。

 それぞれが共鳴支援スキルを駆使して、戦いを優位に進めていく。


 だが、《コード・バグ》は強力なスキルを発動。


【スキル:命名遮断セクション・ゼロ

【効果:範囲内の命名スキル一時封印】


 レンのスキルが遮断され、攻撃が通らなくなる。


「チッ……! なら、命名なんか抜きで、ただ“存在”でぶつかってやる!」


 彼は拳を握りしめ、ただ真っ直ぐに突進した。



 そのとき、シオンが叫ぶ。


「レンくんの“名前”は……“風見レン”だよ!」


 彼女の叫びと共に、何かが弾けた。


【強制解除:スキル遮断領域】

【条件達成:共鳴名唱による自己再定義】


 レンのスキルが復活する。


「名乗ってくれる誰かがいる限り、俺は何度でも立ち上がる!」


 その一撃が、コード・バグを吹き飛ばした。



 戦闘は終結し、アークは解放される。


 廃墟の空の下、彼女はレンに向かって静かに頭を下げた。


「……ありがとう。“名前を守る者”たちへ」



 一方、その様子を遠くから見ていた謎の男がいた。


 彼のステータスは、未登録。

 ただ一言、つぶやいた。


「風見レン。君の定義が、世界を“エラー”に導くだろう」


──次回、《世界修正プログラム》発動と、“神に最も近い管理者”の登場へ。

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