第39話「廃墟区域ガンマ3──命名狩りとの激突」
──廃墟区域ガンマ3。
かつて企業連合の実験都市だったその場所は、いまや違法スキル者と抹消対象がひしめく“無法地帯”と化していた。
風見レンたちNull-Classは、アーク・ブランク救出のため、この区域に足を踏み入れた。
「警戒して進もう。相手は《エラッタ》……命名者を狩る組織だ」
ミオが端末で区域マップを投影する。
「アークの最後の信号は、この旧管制塔ビルから。制圧部隊との交戦痕も検出されてるわ」
◇
廃墟の中、レンたちは罠や妨害スキルを突破しながら進んでいく。
途中、無言の黒スーツ集団に囲まれるも、共鳴スキルで応戦。
【風見レン:
【効果:存在認識強制展開(周囲の命名未了存在を可視化)】
「“名前”のない連中は、俺には見えてる……!」
そのスキルで索敵しつつ、戦闘を切り抜けていく。
◇
やがて、最上階の制御フロアに到達。
そこには、半壊した機器に囲まれたアークの姿があった。
彼女は拘束されながらも、仮面の男たちに毅然と睨み返している。
「名を持つことは、罪じゃない……!」
「黙れ。“空白”の名など、社会の誤記そのものだ」
エラッタ幹部の一人、《コード・バグ》が冷笑を浮かべる。
そのとき、フロアの扉を蹴破ってレンが飛び込んだ。
「その言い草……“名乗る自由”すら否定するってんなら、正面からぶっ壊すまでだ!」
◇
【戦闘開始:Null-Class vs 命名狩り《エラッタ》】
ミオとレンが前衛、シオンは後衛からサポート。
それぞれが共鳴支援スキルを駆使して、戦いを優位に進めていく。
だが、《コード・バグ》は強力なスキルを発動。
【スキル:
【効果:範囲内の命名スキル一時封印】
レンのスキルが遮断され、攻撃が通らなくなる。
「チッ……! なら、命名なんか抜きで、ただ“存在”でぶつかってやる!」
彼は拳を握りしめ、ただ真っ直ぐに突進した。
◇
そのとき、シオンが叫ぶ。
「レンくんの“名前”は……“風見レン”だよ!」
彼女の叫びと共に、何かが弾けた。
【強制解除:スキル遮断領域】
【条件達成:共鳴名唱による自己再定義】
レンのスキルが復活する。
「名乗ってくれる誰かがいる限り、俺は何度でも立ち上がる!」
その一撃が、コード・バグを吹き飛ばした。
◇
戦闘は終結し、アークは解放される。
廃墟の空の下、彼女はレンに向かって静かに頭を下げた。
「……ありがとう。“名前を守る者”たちへ」
◇
一方、その様子を遠くから見ていた謎の男がいた。
彼のステータスは、未登録。
ただ一言、つぶやいた。
「風見レン。君の定義が、世界を“エラー”に導くだろう」
──次回、《世界修正プログラム》発動と、“神に最も近い管理者”の登場へ。
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