第3話 魔王との対面

「その後の冒険の中でも色々あったよ」


 そう言いながらも、母を傷つけられた心の痛みを超えることはないようだ。


 モラモラの話しぶりからすると、身体を究極に締め上げたんだろう。


「それからしばらくして、冒険者になって王城に呼ばれて、魔王を倒してくれって頼まれてさ」


「ついに世界最強の核心部分ですね」


 記者はうんうんと頷いている。

 何だか止まったペンはするすると動き始めた。


「俺、気づいたら強くなってた。最初は母さんを守りたいって思ってたけど、もっとたくさんの人を守ろうって思って、それだけだったんだけどな」


 そうか、モラモラ先輩の世界最強の原点はここにあったのか。


 ついに辿り着いた魔王城。


 禍々しい黒いオーラ、岩肌の戦場、そして魔王の地響きのような笑い声。


 モラモラ先輩はその場に立ち上がりその時の再現をする。


 シュッ、シュシュッ、溜めてからのズバーン!


 俺は目の前でモラモラ先輩が動いてくれたのだが、早すぎて何も見えない。


 俺は薄目で粘る。


 もっもう一度。


 ペンを置いて背筋を伸ばす。



「魔王は強かったですか?」


「まあ、最初はね。俺も勝てないかもって自信なくなったの」


「苦戦したんですね」



「でもずっと戦ってたら、相手も疲れてきて、隙をついて喉元に剣先を向けたの。そしたら『ま、負けだー! 殺さないでくれぇ!』って」



 魔王は必死にモラモラに向かって、手を出し“タンマ”ポーズ。




 モラモラ先輩が剣を下ろすと、正座に切り替わり見事な90度を演出するエレガント魔王。


「正座して謝ってきた」


「魔王、正座!?」

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