第3話
ある日。
「ユンちゃん」
「はい?」
同じ溜まり場のメカニックさんに話しかけられた。
私は支援型なので、メカニック---マーチャント系の上位職で、武器の製造を主とする人が多い---の方にも話しかけられることも多い。
「製造支援お願いしたいんだけどいいかしら?」
太陽のような彼女。 いつもにこにこしてて元気で。
好印象を与えやすい彼女は、ひっきりなしに製造をしている。
「いいですよー」
彼女のパーティーに入り、ステータス向上支援魔法とラック向上支援魔法をかける。
彼女の頭上に天使が現れ、羽が落ちる。
カンカンカン…。
ピロリロリン!
「よしっ、成功っ」
よっしゃあ!と言いながらガッツポーズを決める。
「おめでとうー」
なんとなく鐘が鳴り響くが支援としては微妙、でもスキルツリー上取得せざるを得ない支援魔法をかけた。
カーンカーンカーン………。
「あはは、なんかめでたい感じだよね」
頭上に浮かぶ鐘を見て、あははっ、と笑うメカニックさん。
「うん…何作ったんですか?」
ちょっと興味がある。
彼女は名声持ちメカニックさんだから、攻城戦の人かな? それとも露店に並べるためかな?
「強いアイスランス。 シルク君に頼まれたの。
『貴女の作った武器が欲しいんです』って」
ちくり。 胸が痛んだ。
「そうなんですか?」
「うん、まあ…お姉さんが監獄に行って、鋼鉄とか貰ってる関係上、親しくなったし。
属性武器って買うと高いしねぇ」
彼女はランキング上位に輝くメカニックだ。
それもあり、買ったらかなり高くなるだろう。
「そうですね」
…名前が刻み込まれた武器。 いいな。
わたしもハイプリーストじゃなくブラックスミスかアルケミストの道を選べばよかったかな。
そうすれば、わたしの名前が入った物を彼にプレゼントできるのに。
「あっ、そうだ。
しばらくたまり場に来られないから、この武器…シルク君に渡しておいてくれる?」
「はい」
そう言うと、ずっしりとしたそれを受け取った。
「また材料持ち込んでくれればいくらでも作るよって言っておいてね。 じゃ」
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