異世界召還したら、ヤンデレ系激重男子に溺愛されてます

月野あまね

第1話 金の瞳に囚われて

――瞼を開けた瞬間、空気が変わっていた。


高い天井。光を散らすシャンデリア。見知らぬ広間。

そこは現実とも夢ともつかぬ、息をのむほど美しい城の一室だった。


「……ここは……」


震える声が響いた刹那、背後から低く澄んだ声が落ちてきた。


「紗羅」


振り返ると、窓辺に立つ青年がいた。

陽を含んだような金の髪、冷たく澄んだ金の瞳。

その瞳が、まるで逃げ場を塞ぐ鎖のように紗羅を捕らえる。


「やっと……会えた」


「……だ、誰……?」

「レオン。君を呼んだのは俺だ」


「呼んだ……? 私を?」

「そうだ。この城は俺のもの。そして――君も」


息が止まる。唐突すぎる宣告に、紗羅は思わず後ずさった。


「な、なに言ってるの……? 初対面なのに!」

「初対面ではない」


レオンの声は迷いなく、深い湖の底のように冷たく響いた。

「俺はずっと君を待っていた。やっと手に入れた。だから、二度と離さない」


「……っ!」


言葉を探そうとした瞬間、足元がふらつく。

倒れかけた体を、強い腕が支えた。


「危ない」

「……っ、放して!」

「嫌だ。離すつもりはない」


至近距離で見つめられ、心臓が荒々しく跳ねる。

恐怖と、抗えないほどの熱が混ざって胸を揺らす。


「……夢じゃないの……?」

「夢であってほしいなら、残念だ。これは現実だ。そして俺は、君を一生離さない」


言葉はあまりに真剣で、嘘も冗談も感じさせない。

その重さに息が詰まる。


――その時。


城の奥から、鈍い音とともに扉が軋んだ。

闇の向こうで、何かが微かに光る。


「……なに、今の……」

紗羅が問いかけると、レオンは腕の力を強める。

「紗羅。余計なものに心を向けるな」


金の瞳が絡みつく。

「俺だけを見ろ」


その囁きが、甘くも苦しい鎖のように胸へ絡みつく。

そして、紗羅の異世界の物語が、静かに幕を開けた――。

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