金欠ヒーロー!予算ナイダー!
ミスターチェン(カクヨムの姿)
第1話 現れよ、赤字の戦士!
──ある夏の昼下がり。
商店街の一角にあるアイス屋「フユヤ」が悲鳴に包まれていた。
子ども「ぎゃああああ! アイスが全部溶けてるぅぅぅぅぅ!」
店員「電気止まってる! 冷凍庫がぁぁ!」
店主「うちのガリバニラ(手作り)が……液体に……」
子どもたちが手にした棒から、悲しみだけがしたたり落ちていく。
その時、空気がビリビリと震えた。電柱が発火し、コンセントから火花が散る。
ブレーカーダウン「ハーーッハッハッハッハ! すべての電力を吸い取る怪人、
ブレーカーダウン様のご登場だァ!」
青白い火花を身にまとう、ヒューズのような顔の怪人が高笑いを響かせる。
ブレーカーダウン「この世の電気、全部俺様の物だァ! 一般家庭?
停電しとけッ!」
──その頃。
近所のアパート202号室。
省吾「……えっ、マジで? 今月も残高678円?」
財田省吾は、通帳を片手に青ざめていた。
省吾「変身ベルト、電池入れ替えたら“しゃべらなく”なったし……もう俺、ヒーロー業向いてないんじゃ……」
その時、スマホが鳴った。
スマホ通知【商店街が危ない! 電力系の怪人出現!】
──ヒーロー魂、再燃!
省吾「行くしかないか……行くぞ!鉄機『チャリダー・ブレイカー』」
ギュギュッとヘルメットを被る。荷台には竹刀。制服のジャケットを羽織り、ついに
鉄機『チャリダー・ブレイカー』」」が走り出す!
省吾「正義の味方はつらいぜ!…てか、『チャリダー・ブレイカー』」…無駄に重いのよなぁ(手動発進感)」
ケイリィ「……て、オイ!言わせる前に俺の自己紹介させろ!聞け!俺の名は“ケイリィ”!経理とツッコミを司る者!予算ナイダーの良心、そして数字の化身だ!」
ケイリィ「てか何そのダサジャケット! あと竹刀って何事!? なんでママチャリに乗ってるの!?(チャリダー・ブレイカーだか何だか!)」
省吾「違うッ!これは“ママチャリ”なんかじゃないッ!!」
バッと指差し、ビシッとキメ顔
省吾「伝説の鉄機──チャリダー・ブレイカーだッ!!!」
ケイリィ「いやそれ完全に“ギア3段・かご付き・おばあちゃん仕様”だろッッ!!」
止まったはずの変身ベルト“ケイリィ”が、突如ツッコミ音声で復活していた。
省吾「いや、昔からこうだったっけ……? こんなツッコミ激しかったか?」
省吾「ていうか俺、そこまでダサいか!? このジャケット、父ちゃんの形見だぞ!あと竹刀は……まあ武器ないよりマシだろ!」
省吾「それにチャリダー・ブレイカーをママチャリ呼ばわりはやめろって言ってんだろ!!(涙目)」
ケイリィ「うるせぇ!100均の電池の影響だ!気にするな!(ジュ〇ル星人ボイス) そんでもってコスパもギリ悪くない!」
省吾「コスパがいい…なら!しょうがない!(開き直り)」
──商店街到着。
ブレーカーダウン「おう、なんだお前? 竹刀で俺と勝負する気かぁ?」
省吾「言われたら名乗るしかねえな……!」
省吾、変身ベルトに手を添え、叫ぶ
省吾「ジョウキョウ! ヒノクルマ! 変身ッッ!!」
バチバチッ! 妙にチープなのに無駄に派手な光エフェクトが炸裂!
通帳が燃え、財布が破裂し、電気代未払いのオーラが渦を巻く!
ボンッ! 煙の中から現れたのは、ジャケットとレギンスに包まれた謎のスーツヒーロー!
省吾「金欠戦士──予算ナイダー!!」
ケイリィ「おおっ、仮〇ライダー風で3割カッコよくなった!でも胸元から通帳見えてる!貧乏が滲んでる!!」
予算ナイダー「ふっ…それが予算のない証だからな!(キリッ)
さて…そんなことより…怪人め!電気泥棒は許さない! 予算がなくても、正義を見せてやるッ!(ビシッ)」
ブレーカーダウン「うるせぇ! 今月の電気代見てから言え!」
省吾(言い返せない……)
その時、ベルト(ケイリィ)が叫んだ!
ケイリィ「必殺技だ!(唐突) 出すぞォ! いけ、請求正義拳(セイキュウジャスティスパンチ)!!」
ナレーション「\この技は『電力会社もどき・ヤミエネホールディングス』の提供
でお送りします/」
省吾「貴様ァ! そんなところに企業名出すなァァァ!!」
──パンチが決まる!
拳が空気を切り裂き、通帳の残高で光る“請求オーラ”がブレーカーダウンへ一直線!
その拳には、電気代の未納通知が束ねられていた!!
予算ナイダー「喰らえぇッ! 怒りの基本料金ッ!!」
バギィィィィィン!!!
パンチが命中すると同時に、怪人の全身に電気料金のレシートがバチバチと
巻きつく!
ブレーカーダウン「ぎゃあああああ! その印刷フォントが怖ええええ!!」
ケイリィ「しかもモノクロで紙質ザラザラだぞ!エコじゃない上に痛い!!」
ブレーカーダウン「ぎゃあああああ! 企業コラボォォォ!!」
バチィィィン!!!
火花が四散し、怪人は感電しながら倒れる。電力が一斉に復旧し、子どもたちのガリバニラが冷凍庫へと戻される(無理矢理)!
子ども「やったー! 予算ナイダーありがとう!」
拍手喝采。
店主「予算ナイダーさん、本当にありがとう! お礼にこれ、うちのガリバニラ!
液体じゃない方!」
八百屋「こっちは野菜の詰め合わせだ!全部、賞味期限ギリギリだけどなッ!」
魚屋「アジの干物! 朝から出しっぱなしだったけど、きっといける!」
ケイリィ「食えるものしかない!てか、なんで、賞味期限ぎりぎりなの!?金は!?通帳が震えてるぞ通帳が!!」
省吾「……いいんだ。これが“古きよき庶民の味”ってやつだろ?(賞味期限感)」
通帳:ピピッ(残高がちょっと増えた気がした気のせい)
省吾「……勝ったけど、明日もバイトか……」
変身が解け、帰り道の伝説の鉄機『チャリダー・ブレイカー』がギシギシ鳴る。
(※ママチャリです)
その背中に、夕焼けと、借金の影。
──正義に、予算を。
【今回の戦闘費用内訳】 ・電池(単四×2):220円 ・自転車パンク修理代:0円(ガムテ補修) ・竹刀(祖父の形見):0円 ・スーツの汗抜きクリーニング:未払い
【戦闘後の残高】:458円
次回、「チャリに乗る者、正義を背負う者」!
巨大交差点に現れた交通違反の怪人に、予算ナイダーがママチャリで突っ込む!? ベルを鳴らせ!ギアを上げろ!そして叫べ! 「この戦い、通行料は払ってないぞッ!!」
次回も予算ギリギリでお送りします、お楽しみにッ!!
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