観測ログ43:到着と報告
先に到着していたミニーから、状況の説明を受けた。
「ここから先のどこかに――魔の領域、があると思われるわ」
「……“思われる”?」
カイルが眉をひそめる。
「ええ」
クラリスが地図の一点を指で示して補足する。
「魔物は確かにこの丘の辺りから湧いてきます。でも、発生源が見当たらないんです」
「事前の報告と違うのは湧いてくるのはゴブリンばかりよ」
「邪教徒や、ザルド兵はどうなの?」
エリシアが確認する。
「今のところ、確認されていません」
「不審な集団も、見当たらないわね」
事前に聞いていた話と、だいたい同じだ。
ただ――
実際に来てみると、違和感ははっきりしていた。
魔の領域の方角から、濃い魔素が流れ込んできている。
そして景色が、どこかおかしい。
歪んでいるわけでも、崩れているわけでもない。
だが、「何かが違う…」。
今日はまだ昼過ぎだったが、
この後は野営を設営し、休息に当てることになった。
本格的な調査は、明日の朝からとなった。
◆ ◆ ◆
他の聖騎士たちに目立たないよう、
カイルの影収納から出しているように見せかけつつ、
実際にはヴォイドの収納から、かまどや調理台を取り出す。
「……これ、全部入ってたの?」
ミニーが目を丸くする。
「野営装備、ということにしておいてくれ」
「規模がおかしいです……」
クラリスとミニーには呆れられたが、そのおかげで、野営とは思えない夕食になった。
「ははっ、野営も悪くねえな!」
ライガが豪快に笑う。
◆ ◆ ◆
夜は、魔物避けの魔道具を設置したうえで、交代制の見張り。
索敵スキル持ちを分散させた結果、
最初がグラディオとミア。
次がカイルとライガ。
最後がエリシアとヴォイドとなった。
クラリスは教会側のテントで休む。
「シュレイは……?」
ミアが周囲を見回す。
「放っておくと何をするか分からないんだから飼い主のあなたが面倒見なさい。」
エリシアが即断した。
深夜。
俺たちの番になった。
「……その杖、やっぱりおかしいわよね。この前まではただの棒だったわ。」
エリシアが小声で言う。
「前見た時は魔法を撃っていたのに、今日撃っていたのはただの石じゃ。」
シュレイも、興味深そうに覗き込んでくる。
「土魔法、と言う事で誤魔化せないか?」
「他の人ならそれでいいかも知れないけど、魔力で作られた物と、そうでない物の違いくらい、見る人が見れば分かるわ」
エリシアは断言した。
シュレイも、こくりと頷く。
「……規格外じゃ。」
エリシアも同意する。
銃という物がないこの世界の人に上手く伝える事が出来ないのでかいつまんで説明すると、それ以上は聞かれなかった。
夜更け。
エリシアは、いつの間にか俺の肩に寄りかかっていた。
「……寝てる?」
小さく聞くと、
「……ん……何かあったら、精霊が教えてくれるから……」
そう言って、そのまま眠りに落ちた。
シュレイは銃の話しが終わったあたりから起きている気配がない。
反対側で、完全に熟睡している。
結果、俺は――
両側から体重を預けられ、
両腕に柔らかさを感じながら、
悶々としたまま夜を明かすことになった。
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