蟲喰ノ文庫

【Discordログ:#都市伝説-浮牧チャンネル】

(投稿者: NOZOMI1124 / 2023.08.14 23:08)

ねえ、「蟲喰ノ文庫」って知ってる?浮牧の旧役場の地下にあるって噂。

図書館じゃないの、"文庫"って呼ばれてて、一般非公開らしい。

調べた人、3人失踪してるって。



(投稿者: ReoTama / 2023.08.14 23:09)

それマジでやばいやつ。文献、読んだら“くる”って聞いた。



(投稿者: sakurayo / 2023.08.14 23:09)

「くる」って何??



(投稿者: ReoTama / 2023.08.14 23:10)

読むと、自分の思考が混ざるっていうか…“自分の中に誰かが寄ってくる”感じがするらしい。



【旧SNS投稿:写真共有アプリ「PHOLK」@takuya_hamada】

画像:地下へ続く階段。「蟲喰ノ文庫 関係者以外立入禁止」の古びた看板

キャプション:やっと見つけた。入るかどうかは、迷う。



【個人ブログ「虚像記録帳」より(2023.09.01)】

――『蟲喰ノ文庫』は“浮牧に移された亡霊たちの寄せ場”だった。

浮牧が「受け入れ地」として指定されたのは昭和20年代、戦後まもなくのこと。

民間人が土地ごと移された噂は本当で、その移送記録の大半が文庫に保存されている。

しかし、それらの記録に“書かれていない何か”が、時折紙面に浮かび上がる。

「じっと見ていると文字が変わる」と語る人もいる。

中には、“自分の名前が書かれていた”と証言した者もいた。



【録音ファイル書き起こし(記録日不明 / 話者:不明)】

「……あれは文庫じゃない、“巣”や……本の中に潜んどる」

「読んだら終いや、脳に残る。ページを閉じても、そいつは読み続けとる……」

「“ページ”は器や。そこに“かれら”は宿っとるんや……」



【匿名DM:受信者不明 / 2023.09.11 01:41】

ごめん、文庫の写しを送ったのは私。

あれ、読んだらだめ。焼いて。

もう、誰にも読ませないで。お願い。

(既読)



【町役場保管FAX:2004年7月12日 / 差出人不明】

『蟲喰ノ文庫』地下蔵書室の実地閉鎖について

・文書異常:保存書類が経年劣化せず反転

・職員1名失踪(高橋)

・「虫音」の報告多発

※以後、文庫へは鍵付きで隔離中



【Discordログ:#都市伝説-浮牧チャンネル】

(投稿者: NOZOMI1124 / 2023.09.13 01:22)

takuya_hamada、ログイン途絶えてる。最後の投稿、文庫の写真だった。



(投稿者: sakurayo / 2023.09.13 01:24)

私、あの写し……開いちゃった。

寝てると誰かが読んでる声がするの。耳元で。

起きたら、本棚の配置が夢に出てきてて……知らないはずの場所なのに。



(投稿者: ReoTama / 2023.09.13 01:27)

オレも似たような夢見た。“棚ごと”動いてた。

勝手に開いたページが、全部、自分の記憶に繋がってて怖かった。



【補足:非公式インタビュー記録】

元文庫職員B:「“書かれたくないこと”が混ざってるんです。で、それを“排除”しようとするんですよ、文庫が。読む人間を」

元文庫職員C:「書架じゃない。生きてます。中に虫がいるんじゃなくて、文庫全体が虫なんです」



【新媒体報告:短文投稿サイト「ヒラメキ」より】

・浮牧旧役場の地下で光源のない発光がある

・ページをめくるたびに、読んだはずの内容が変わっている

・ページの中に「声」が挟まっている。読んでいると、急に耳元で囁かれる



【補足:編者メモ】

この文書は現在も更新中であり、「蟲喰ノ文庫」に関する証言が日々増加している。

今後、“読み手”と“書かれたもの”の境界がさらに不明瞭になる可能性がある。

ある匿名投稿者は「読み返すたびに、自分の顔が少しずつ違って見える」と記していた。

また、私自身も夢の中で“文庫”を探し続けている。

“誰かが読むまで、私はまだページになれない”と――あの声が囁いている。

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