【創造神のお詫びです】

「うわっ、ポンティアック・トランザムだ!かなりいじってるけど第3世代でしょ!?」



「ええ、まあ。FLAG仕様と言ったところでしょうか。」



強化被膜のお陰で新車のように見えるが、これも今ではヴィンテージ・カーに含まれる。



「FLAG仕様!?どんな仕様!?」



「とりあえず移動しましょう。乗ってからお話ししますから。」



興奮したまま、こくこく頷き乗り込むグレン。

瞳を輝かせ、車内を見回している。



「凄いなぁ……。市販の車には絶対ない内装だよね。」



「そうですね。FLAGの任務は危険が伴いますから、それを回避する為の機能や、危険を察知する為の機能が組み込まれているんですよ。あ、勿論ナビ機能もね。」



普通一般車に搭載されている機能も当然完備されている。

笑ってグレン宅の住所を聞くシャスタだが……



「え……?本当にその住所なんですか……?」



「うん。もしかして知ってる?」



「知ってるも何も……」



昔、その住所には大きな屋敷が建っていた。

トレーラーでも軽々と通れる広い門に、財団に引けを取らないほどの広大な敷地。


そこはシルビアが売却した、資産家マクファーソンの屋敷が建っていた場所──。



「マクファーソンって言ったかな、前の持ち主は。売りに出された時、前々から憧れていたじいさんが飛びついたんだって。」



「屋敷がそのまま残ってるんですか!?」



あれから60年以上経つのにと、またまた素で驚いた。



「あれ?もしかして古い屋敷とか苦手なタイプ?幽霊なんて出ないから安心してよ。」



「いえ、幽霊とかじゃなくて。どちらかと言うと老朽化が心配です。」



「その辺も心配ないよ。みんな気に入ってる屋敷だから手入れはバッチリなんだ。」



「そうなんですか?それなら楽しみですね。」



そう言いながらも、やはりシェンの手抜きなのではと小さなため息が出た。



「それにしても、シャスタさんがあの屋敷を知ってたなんてね。FLAGってほんと凄いなぁ。」



「はは、何事にも情報が大事ですから。」



笑って懐かしい道を行く。

思い出を辿る気がなかったとしても、自然と辿る事に──



「まさかその為に……?」



ひょっとしたら、それがシェンの目的だったのかも知れない。



──あの時のお詫びです──



そんな声が頭の中に響いた。

どうやらその考えが正しかったようだ。


あの時とは恐らく、天界で両親と再会した時の事だろう。


ずっと待っていた両親と、その存在を知らされていなかったシルビア。

自ら気づき、一晩だけの再会を果たした家族だが……その夜、彼女は悲しみの中で一夜を過ごす事となった。


当時悩みを抱えていたシェンの、小さな伝達ミス。

そのミスのお詫びにと、親子をこの形で再会させようとしたのだろう。



今頃彼女も、母親との再会を楽しんでいるに違いない。

そう思ったシャスタがクスリと笑った。



「何?どうかした?」



「いえ。何となく……長い付き合いになりそうだと思いまして。」



「長い付き合い、大いに結構。出会ったのも何かの縁。一期一会の人生、楽しまなきゃ損。でしょ?」



「はは、そうですね。」



天界人となったシャスタ達にとって、寿命ある人間達との出会いはまさに一期一会。


恩恵を与えたり導いたりするのも一度限りの事だ。



死に別れ、生まれ変わり、再び自分達の前に現れる親しき人々。


そんな彼らの輪廻転生を見守りながら、シルビアとシャスタは永遠の時を生きて行くのだ。

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