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しばらく顔を上げられずにいたけれど、
この状況を続けているわけにはいかない。
晴澄から離れて一歩下がり、涙を拭った。
「俺は…」
しばらく流れていた沈黙の中で、先に口を開いたのは晴澄だった。
その瞳には情けないくらい不安な顔をしている自分が映っていた。
ああ、やだな。
そんな風に見えていたら。
「槙江さんの気持ち全部を理解してあげられないです」
こんなにも優しく響く声が常に自分だけに向けられたものであればいいのに。
「だから聞きたいです。槙江さんがいつもどんなことを考えてるのか。何を思ってるのか…」
いつも真剣に向き合ってくれる。
「知りたいんです、どんな些細なことでも」
そんな風にまっすぐ見つめられると、
「教えてください、もっと。槙江さんのこと」
好きで、堪らなくなる。
「知っても何もないよ…面白いことなんて」
「いや結構面白いです。槙江さんは」
「そんなこと言ってくれるの、晴澄だけだよ」
「いいです。それで」
真顔でそう言う晴澄に思わず笑った。
晴澄も、面白いよ。
好きだよ。
そんな風に言ってくれる、晴澄が。
「槙江さん」
「ん?」
「卒業、おめでとうございます」
たまらなく、好きだよ。
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