短い怖い話

ブルマ提督@新作公開中

第1話 ホテルのブーツ

 友人から聞いた話なんだけど。


 この前、旅行に行ったんだって。

 一人旅が好きって聞いてて、どこに行ったの?って聞いた。

 そしたら「○○ってところの、旅館にいった」

 そこで変な体験?をしたらしい。


 地域では結構大きな旅館……というか、ホテル?みたいなところで室内に池とあった。

 で、温泉に入って部屋に戻るときの廊下に何か置いてあった。

 最初は長靴だって思ったんだって。

 でも、近づいていくうちに何か違うなってなった。

「あれね、ブーツだった」

 紐がたくさんついた、ブーツ。

 最初は嫌がらせかと思ったけど、どかすにどかせない。

 なんとなく触れなくない?誰のか分からないブーツなんて。

 友達は、フロントに向かった。

 フロントの人に話すと、一緒に行くってことでもう一回部屋の前まで戻った。


 で、まだあるの。ブーツ。

 普通さ、ロングブーツってくたるのが普通じゃない?

 そのブーツ、くたってないの。

 見えないだけで、人が履いて立ってるんじゃない?って思うくらい。

 フロントの人は、一回どこかに行った。

 で、長いトングとライター。あと、なんかの紙?だった。

 びっくりしたんだけど、フロントの人さ。

 ライターで紙に火つけて、それをブーツの中に入れたの。

 え!?!?!?と思ったよね、でもさここからが変でさ。

 燃えないの、ブーツ。

 そのまま。ただ、紙を入れた瞬間にブーツがぱたって倒れちゃった。

 で、フロントの人がトングで摘んだ。

 ……って、なんか変か。掴んだって感じだったな。

 気になったから、ついていったらしい。

 別にいいんじゃない?って思ったけど、友達曰く「気になったから!!」って。

 フロントの人も慣れてるのか、「いいですよ」って。

 ついた先ってのが、ホテルの裏にある小さな神社。

 人は多分いない。で、そのまま本堂?だっけ。そこの引き戸を開けたの。

 びっくりした。


 同じようなブーツがたくさんあったから。


 フロントの人は、中に入らないようにしながらブーツを丁寧に置いて引き戸をしめた。



 で、聞いてみた。なんで、あんなことをするのかって。

 理由は「分からない」

 ある日、気が付いたらブーツが置かれてるらしい。

 放置してたら事故が多発したから、色んな人に相談した。

 一人の霊媒師(神社の人かな?)が、その話を聞いて。

『裏の空地に本堂を作る。この紙を燃やしたものを入れて、素手で触らず本堂の中に入れなさい』だった。

 いう事に従ったら、事故とかがなくなったんだって。

 おかしいのが、本堂を作る費用も紙の費用も無料だった。全部、霊媒師が用意したんだって。

 当時の支配人はお礼について話したけど、霊媒師はたった一言。

『月に一度泊まりに来る。部屋は眺めが一番いい部屋にして』だけ。

 そんだけ。


 本堂のブーツだけど、月に一度その人が取りに来るらしい。

 ブーツの行方は分からないんだって。

 曰く付きかと思って調べたけど、それもなかったって。

 ブーツの曰くもないし、土地の曰くもない。

 建物にも変な噂はない。


 友達?元気だよ。

 また、次も同じ旅館に行くってさ。

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