バイト前にはビールを飲め。
駅ナカのコンビニでビール350mlを買って、次の電車が来るまでの1分の間に飲み干す。夏だろうと冬だろうと、これが効くのだ。大学から家に戻ってコンビニバイトへ。理不尽なサンドバッグ化状態に耐えるには、お酒を飲んでるからという罪悪感が必要だし、酒を飲んでバイトに入らないと会話が成立しないからだ。会話と言っても一方的に相槌を返すだけのディスコミュニケーションだけれども。言い返す気が起きなくなるし、頭の中の言葉の言葉が滲んでぼやけるからオススメだ。
毎日飲んでいても、お金に関してはあまり困らない。実家暮らしだったから家賃はなかったし、ライフラインは親のお金に全額を肩代わりしてもらえる。月9万や100万の稼ぎをまるっと自分のお小遣いにしてしまえるのだ。といっても、税金が怖いのでシフトを減らしてもらうように頼んだことも何回かある。しかし、人がいなくて入らざるを得ないのだ。せっかく新しい人人が入ってきても、あまりにもオーナーの当たりが強すぎて1日で辞めてしまう。
自分もバイトをやめたいと何度思ったかしれないが、自分の意味不明な責任感の強さがずっと、店を捨てて他の働き場を探すという決心を邪魔している。1年生の秋ごろに入って、一度店がつぶれてオーナーが新しい人に変わったタイミングで抜けていれば良かったのではないかと幾度も後悔した。
2年生の春頃に、バイト辞めろとオーナーからの直々に怒られてしまったタイミングで「これから頑張りますから時間をください。見ていてください。きっと役に立ってみせます」だなんて意地を張って音を上げられなかった自分を幾度となく責めた。
でも、組織にはサンドバッグが必須なんです。ストレスを請け負う人が。パワハラを抑えるためにはそれが1番いいんです。変に相談窓口を設けるよりも、サンドバッグ用のマゾを採用したほうがその会社の労働環境はすっごく良くなるんだろうなって、自分が今それだからすごくそう思う。
辛くないわけではないけれど、サンダルのラバーとの摩擦で足が焼け焦げるくらい歩かなきゃいけなくなる地獄に比べたら全く大した事ない。フィジカルへのダメージはどうしようもないけど、メンタルへのダメージって、考え方次第でどうとでもなる。私じゃない私に肩代わりしてもらえばいいから。複数の人格が形成されている人って、そうやって心を守っている場合がしばしばあるらしい。
辛い目に遭うことに慣れている人間は、レジリエンスが強いだろうというのはまあ、当たり前である。ただ、そういった人はウチのコンビニに限らず、きっと会社のサンドバッグにされる。耐えうる強さがあるからといって、無意味に痛めつけられたい訳が無い。他に強い人がいないから、自分がマゾの役割を引き受けているだけ。別に僕は虐められて喜んでいるわけじゃない。「初心者以下」とか、「常識がズレてる」とか、同じことをグルグルぐるぐる叱られ怒られて、何のイライラも覚えないではいはいと返事していられるほど都合のいい人間じゃない。
かといって湧き出すイライラの流れに任せて大喧嘩に発展するほど心が弱くて頭が悪いわけでもない。変にメンタルコントロールが上手な人間の辛いところだ。
いかなる理不尽や事情があろうとも、怒るという行為を選択する人間は、人として未熟であり、愚かであり、機転が利かないことの証拠を自らさらけ出しているのと同じであると私は考えている。
だから、私が誰かに怒る時はその不名誉を自ら背負う決心をしてでも怒らねばならないと判断した場合か、何か色々なことが積み重なって精神が退行してしまったかのどっちかでしかありえないと思う。
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