1-22 side.レオ
「やったな、レオ」
「おめでとうございます」
広間に入ってきたときの扉が開かれた。そこに立っていたのはエリックと槐さんだった。
「い、生きてる!?」
「ゆ、幽霊ですか!?」
「ゆゆゆ幽霊!!??」
「ゲームなんだから当たり前だろ」
そういえばいつだかニーナが、冒険者は生き返るとか言っていたような。というか、どうしてそのニーナが驚いているのだろう。幽霊と驚くルシルは可愛かった。何はともあれ、僕たちは再会を喜んだ。
『見事な戦いじゃった。制限があるとはいえ、久々に楽しめたぞ』
魔王の声に、ゆるんでいた空気が緊張へと戻される。辺りを見回すが、青い炎も巨体も存在はしない。ただなんとなく見られている気がして、空の一点を睨んだ。
『あー、そう睨むな。わしの負けじゃ。何もしない』
広間全体に響く声。姿が見えないだけに油断はならないけれど、随分と気の抜けた声からは敵意を感じなかった。
『最近はわしに挑んでくる者も減ってのう……退屈しとったんじゃ』
「それで僕の村をめちゃくちゃにしたのか!?」
『村を……? わしは何もしておらぬぞ。破壊活動に勤しんだのは前魔王で、わしは迷宮と魔物しか創っておらん』
「その魔物が! 僕の村を襲ったんじゃないか!」
「レオくん落ち着いて。私たちは君の事情を知らない。けれど魔王様が村を襲うなんて、私にはそんなことする人には思えないの」
槐さんは自分たちが異世界に飛ばされたときの話を始めた。
「私たちが向こうに飛ばされたとき、最初に出会ったのが魔王様だったの」
魔王に敵意はなく、好意的に二人を受け入れたという。そして、一緒に【
曰く、迷宮作成は魔王の趣味みたいなものらしい。オアシスに湖底迷宮をつくったり、森の木々を魔物化させて迷宮へ変貌させたり。もしかしてある時から湖で魚が釣れなくなったり、森で魔物が出るようになったのって――。
「やっぱりお前のせいじゃないか!! そのせいでじいちゃんは……」
『うっ……わしにその意志がなかったとはいえ、悪かった。村を破壊したやつはわしが殺しておこう。謝って済むことではないが、本当にすまん』
なんだか随分と簡単に謝るな……????
「おじいさんのことは、謝ってもどうすることも出来ないけれど……私からも、ごめんなさい!」
「え、槐さんが謝ることじゃないよ!?」
「そうよ。そもそもお母さんが魔物の統治をサボっているのが悪いのよ」
なぜか誇らしげに頷くニーナ。
「魔王様の力で生き返らせることは出来ないんですか?」
口を挟んできたのはペペだった。頭の後ろで手を組んで呑気な顔をしている。正直、こいつが魔王の加勢に入るんじゃないかと戦闘中気を抜けないところもあったのに、本当に見学しているだけで終わった。
『出来ないことはないが死体がないからのう……アンデッドとしてなら簡単じゃ』
死体? アンデッド?
「勝手にじいちゃんを殺すな! じいちゃんは生きてるよ!」
「え? 違うの」
ペペの態度に何だかまた腹が立ってきた。魔王より面倒かもしれない。
「おい、レオ。お前は爺さんが殺されてその復讐をしていたんじゃないのか?」
僕は首を振ってエリックに返す。
「違うよ。復讐はそうだけど、じいちゃんは魔物が襲ってきたことに驚いて逃げる時に転んで骨を折ったんだ。魔物さえ来なければこんなことにはならなかったのに」
全員が静かに僕を見た。誰も何も言わないのがなんだか冷たく感じる。
「ま、まあ生きてるならいいんじゃねーの……?」
「そういうことを言わないの」
エリックがまた槐さんに小突かれていた。
ウィズが話を止めるかのように手を小さく挙げた。
「ところで、レオ。魔王を倒したからには元の世界に戻してもらわないと」
そうだった。僕たちの今の目的は魔王を倒して元の世界に戻ることだった。
「聞こえてるか、魔王! 僕たちが勝ったんだ。大人しく元の世界に戻せ!」
『いや、わし、そなたらの戻しかたは知らぬが』
え? 今なんて言った?
『確かにそなたらが飛ばされたのはわしのせいじゃが、戻しかたまでは知らぬぞ。おおよそ【次元直視】を使えば簡単じゃろうが、安全に、命の保証までは今はまだ無理じゃ。魔法を使うにも準備というものがあるからのう』
「でもニーナが――」
ニーナは横を向いて僕と目を合わせようとしない。
「『多分』よ! アタシは『魔王を倒せば〝多分〟元の世界に戻れる』としか言ってないわ!」
「騙したな、ニーナ!」
「騙してないわよ!」
僕たちの口論を止めるものは誰もいない。
「平和だな」「平和ですね」
ルシルたちは回復薬を飲みながら世間話をしていた。
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