第9話
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総司そしてお爺様へ
柚希は出かけて来ます。
お昼は出来合いの物を冷蔵庫に入れておきました。そちらを食べてください。
もしかしたら夜も遅くなるかもしれませんが、その場合はいつもの様に店屋物を頼んで下さい。
柚希より
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◆◆◆◆◆
そう書き置きを残し、家を出た俺は現在、近くの緑地公園のベンチに座っていた。5月の木漏れ日が気持ちいいぜ。
「はぁ」
でもため息出るわ。
「これからどうしましょう……」
学校のある日はまぁいい、問題は土日。一応必死に誤解を解くつもりだけど、下手をすると俺は総司と公認カップルになっちゃう可能性が高い。
つか予想では「儂より強くなったら」的な事言ってじじいは発破かける材料にするだろうな……因果応報ってやつかな?こんなんなるなら破壊しなかったよ。
「出来るだけ家に居ないようにしないと……バイトでも始めましょうか」
「なんかあったの?」
「大した話ではありません、ただ弟と将来結婚させられそうなだけで……」
「いやいや大した話過ぎるでしょ法律的にどうなのそれ」
「婚姻届等は出せないでしょうが血は繋がっ……て?」
今俺誰と話してる?声のした方を振り向く。ん?
「かほちゃん?」
そこには懐かしい顔が立っていた
「へへっ、ゆずきち久しぶり!」
「お久しぶりです、元気でしたか?」
「うん、元気元気!ゆずきちは元気……では無さそうだね」
思わず苦笑いが出る。まぁ元気だったら今頃はこんな所には居ないからな。
「まぁ、色々とありまして」
「本当に色々ありそうでびびってるよ私……あぁ隣座るね」
「どうぞ」
よいしょとベンチに腰掛ける夏帆ちゃん。なんかいいなこういうの。ちょっとアオハル味を感じる。
「中学以来なので丁度一年ですね、どうですか?武専は」
「んー?可もなく不可もなく?でもダンジョン入れるのはやっぱ面白いかな」
武専。武術専門学校の略だったかな?簡単に言うなら探索者を育成するほぼ国営の学校。ここに入学すれば18からしか入れないダンジョンに特例で入れるよ。そこに夏帆ちゃんは通ってる。
「ではステータスももう?」
「うん、持ってるよー!見る?ステータスオープン」
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【名前】 有川夏帆 【Lv】21
【筋力】 50 【俊敏】 95
【魔力】 49 【器用】 90
【頑丈】 46 【体力】 60/60
【備考】
気配察知 抜き足
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21レベか、探索者の平均レベルが30前後な事考えると高二なら高い方なのかな?聞いちゃお
「これは……凄いのですか?」
「あーそっか、ゆずきち分かんないよね。まだステータス無い筈だし」
ごほんとわざとらしく咳払いする夏帆ちゃん。ごめん、本当はステータスはあるよ。でも見せたら大騒ぎになっちゃうから……ぴえん。
「えっとね、まず武専の一年生の進級条件が15で、二年が24、三年生の卒業条件が30以上なの。だから、今5月だから平均より上なんだよー」
「そうですか、頑張っているのですね」
「えへへ、でも生徒会の人達になると50レベル超えてる人ばっかりだから私はまだまだだね」
はえー、50超えは凄いな。結構命賭けなきゃ難しいラインだ。探索者でも上澄みに片足突っ込んでる。
「ゆずきちは学校どう?普通校だよね確か」
「つつがなく過ごしておりますよ」
「ふーん、ゆずきちは絶対武専に行くと思ってたのに」
「あはは……」
いや行きたくても行けねぇっす。ステータス確認されたら詰むし……武専の話題はいかんな、ボロ出る前に話題変えよっと。
「所で夏帆ちゃんはなぜ公園に?お散歩ですか?」
「ん?……あぁ、違う違う。私は付き添いで来ただけ、あそこ見て」
夏帆ちゃんが指さす先を見る……なんか探索者スペースで中一くらいのガキが木刀振ってんな。
「お知り合いですか?」
「うん、あれ武専の後輩」
「え?後輩……ですか?」
て事は高校生?いや嘘やん
「本当に、武専の生徒なのですか?」
「あはは、中学生くらいにみえた?あれで武専の生徒だからステータスもあるんだよ……おーい!
光輝くんとやらに手を振る夏帆てゃ。お、こっち来たな。
「なんすか?有川先輩」
「私の友達紹介しとこうと思って。橘柚希って言うの、私の通ってた道場の子でメチャ強剣士なんだよー!それに美人さん」
「へぇ?道場の……どうも、須藤光輝です」
「橘柚希です、お見知り置きを」
お互いに会釈。友達の友達同士の顔合わせってなんか気まづくなるよね。
「何処にある道場なんすか?」
「こちらから30分ほど歩いた所にあります」
「へぇ、知らなかった。有川先輩がいうには凄く強いんですよね。ウチと同じ所に通ってるんですか?それとも他の武専に?」
「いえ、私は普通の高校に通っておりますよ」
「あぁ、なんだ一般人か」
ぼそりと呟く光輝くん。……おや?(*^^*)
「ちょっと止めなよその言い方」
「あぁ、すいません先輩。強いって言うから素振りを見てもらおうかと思ったんですが、なんかガッカリしちゃって……橘さんもすいません」
謝罪のつもりなのか、ウッスくらいのノリで軽く頭下げられる。しかも言ってる事、ナチュラルに煽ってるからね?
「なんか感じ悪!見てもらえばいいじゃん」
「いやぁ、そもそもこの人、俺の素振り見えないでしょ」
あ……ふーん、そういう子なんだね君は。
「須藤くんはレベルが高いのですか?」
「今10っすね」
「え?夏帆ちゃんは21でしたけど」
「いやいやいや、武専入ってまだ1ヶ月ちょっとっすよ?このペースなら生徒会入りも見えるんすけど」
「すいません、武専生では無い人に生徒会に入れる可能性を引き合いに出されても……はい、それで?としかなりませんが」
「は?喧嘩売ってるんですか?ステータスもない癖に?」
凄んでくる光輝くん。ごめんね、君小さいからさ……小動物の威嚇みたいで可愛いねw
「……今、笑いました?」
「すいません、須藤くんはあまり強そうでは無いし小さいので怖さより可愛さが……」
「強そうじゃ……ない?あんたよりは100倍強いと思うけど」
「いえ、間違いなく私の方が強いですね。試してみますか?」
「ぷっ!一般人が?ステータス持ちに?あははは!……丁度木刀二本あるんでぜひ見せて貰いましょうか」
そう言ってさっき素振りしてた場所を首でクイッとする光輝くん。この如何にも中二臭い「場所を変えよう」の流れすこ。
「ちょちょちょ!ストップストップ!一般の人相手にステータス持ちが力を振るうのは法律的にアウトだから!」
さすがに法律持ち出されてビビったのか怯む光輝。ん?やめる流れになってる?逃がさねぇよ
「夏帆ちゃん、私は構わないのでやらせてください」
「ちょ!?ゆずきち!?危ないから止めときなって!」
心配してくれてんのが凄いわかる、サンキュな。でも問題ないっす。
俺は下唇を舌で濡らして笑う。
「大丈夫です、怪我はさせませんから」
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