Ⅶ‐Ⅳ ねぇ、どんな関係??
「—————何か言い残すことは?」
「待ってください。お慈悲を」
ミラさん達の会議が終わり一件落着・・・と思いきや、私はミラさんの屋敷に戻った途端、部屋の一室で正座させられていた。
今この部屋には私と美咲、ミラさん、睦月、あと何故か
「・・・さすがにやりすぎじゃない?美咲ちゃん・・・?」
ほ、ほら!睦月も言ってることだし・・・!
「そうだね。私もあの
「やっちゃってください!
掌返しはやっ!!
ほ、他に味方は・・・
ミラさんはオロオロしてる。
相原は・・・彼女とデートに行ったきりまだ帰ってこない。
草薙は・・・後が面倒だからヤダ。
・・・ガリ勉?
アイツに頼るのはすごく癪。
すごく癪だが・・・背に腹変えられぬ。
アイツならまだ、情けを・・・貰えないな。
「—————さあ、ついにその時はやってきたよ」
ぎゃ—————!?
やばいやばいやばいやばい!!
美咲ここまで言い出したら止まんないし!!
「本当にお待ちください!美咲さま!なんでも!なんでもするから!」
私のなんでもするからの一言に美咲の目が光った。すごい嫌な予感がする・・・
「—————じゃあ、ちょっと今度雷鳴の騎士とデート行くときにいろいろ聞いてきてもらおっか」
「デ、デート?!」
「デートちゃうわ。ただの訓練」
というかミラさんただの美咲の戯言に敏感すぎ。
「————ほう、私の言うことが戯言?・・・いい度胸してるじゃん」
マコトニモウシワケゴザイマセンデシタ・・・
毎度思う。
なんで私の考えていることわかるんだろう・・・
「異世界来てからより紅葉の考えていることわかるようになったんだよね~・・・紅葉だけじゃなくて、蒼琉君もだけど。・・・なんでだろ?ちなみにさっき雷鳴の騎士さんの話が出たとき不機嫌になりかけたのもわかった」
・・・アイツが不機嫌?
私が雷鳴の騎士とデートで?
・・・脈ありとか言いたいわけ?
まっさかぁ!!
女にもみられてないでしょ~
「ま、実際そうだね」
直接言われると腹立つな。
美咲さん、あなたはどっちの味方なんや・・・
でも・・・・・・
いや、やめておこう。
誰に聞かれているのかもわからないし。
「どういう意味?それは?」
ヒエッ
恐ろしや・・・
「————で、なんで“雷鳴の騎士”に用があるわけ?」
あー、それは私も気になる。
というか——————
「ミラさん、さっきから大丈夫?」
「—————へ?!え、えぇ!話はちゃんと聞いていますよ?紅葉さんのデートの話ですよね?」
違う。
デートから離れてくれ。
やっぱりさっきからミラさんの様子がおかしい。
特に雷鳴の騎士の話が出るたびに一瞬ビクッとなっている。
・・・実は恋仲とか?
「やっぱり紅葉も気になるよね!?ね!?」
・・・さては美咲、それを聞くのが目的だな?
「その通り!!」
満面の笑みで言うなや。
そして私が考えていることはおそらく美咲にしか伝わってないから、ミラさんは理解していないはず・・・とはいえ、気はあまり進まないなぁ。
あんまり他人の恋愛ごとは首突っ込まない主義だから・・・
「————もしいやだったら、おやつ全部私に献上でもいいよ?」
「張り切って聞いてきまーっす!!」
おやつないほうが嫌だ。
***
「ということがありまして・・・」
「それはそれとして唐突すぎないかい・・・?」
たった3時間前に喧嘩吹っ掛けた相手に、私は何を聞いているのだろう?
今、私は“雷鳴の騎士”ブリッツ・ファタリテートの屋敷にいる。
30分ほど前にミラ邸を出発・・・という名目で追い出され、3時間前に喧嘩吹っ掛けたとき取り付けた稽古を今してもらっている。
「にしてもクレハちゃんもそういうのに興味があるのかい?少し意外だな」
「まぁ、興味ないかって言われたらうそになりますけど今回は私の親友の懇意・・・ですかねー」
「あっはは!クレハちゃんも大変だねー」
・・・なんか調子狂うな—。
というか
何このイケメン・・・・・・
惚れはしないけど。
「でもクレハちゃんも珍しいよねー。自分で言うのもなんだけど、こういう顔は好みでない感じ?」
「本当に自分で言うのもなんですね?私は3時間前に言った通りですよ?」
***
————3時間前。
宮殿から出てすぐ私はあのいけ好かない騎士を探した。
あの騎士にはいろいろと言いたいことがある。
さっさと見つけ出して一発————
「————やぁ、お嬢さん」
ほーう?
向こう側から来てもらえるなんて・・・
これは願ったり叶ったりだ。
彼は宮殿を出て騎士たちの鍛錬場にいた。
この時間は練習しているほかの騎士の姿は少なく、私と“雷鳴の騎士”しか鍛錬場にはいなかった。
「どうしたんだい?そんなすごい怖い顔して」
「—————あなたの目的は何なの?」
「・・・どういう意味だい?」
「あの状況でなんの利益もなくミラさん・・・ミラ王女の味方をするなんて思えない。何を企んでいるのか気になっただけ」
「・・・利益がないとダメなのかい?」
「・・・私が信用できない。そんな人間は」
なぜか雷鳴の騎士は寂しそうに苦笑した。
「・・・利益、ね。さっさと魔王討伐を終わらせるためかな」
「————それだけ?それならあんたや他の騎士たちでもいいでしょ?
納得がいかない。
そんなので私を騙せるとでも思うわけ?
しかしそんな私を気にすることなく、彼は私を指さした。
「——————君は強いよ。他の誰よりもね。それは俺が保証する」
・・・宮殿の時と一人称が違う。
それに力強い目だった————
「———それと
「———なら、今ここで私があなたと戦ったら勝てますか?」
私は片手に魔法で光を纏って見せ、臨戦態勢に入った。
「————舐めんなよ、クソガキ?」
次の瞬間、私は彼の額に向かって光の拳をぶつけようとした。
最近編み出した魔法【神速鉄拳】だ。
近接戦で殴る手数も欲しかったので、とりあえずコイツで試してみることにした。
「————なるほど。けっこう速いね」
「————————?!」
信じられない。
神速と名付けただけあって、速さには自信を持っていたつもりだった。
それをいともたやすく避けるだなんて—————?!
「—————君と遊んでる暇はあまりないのでね、終わらせてもらうよ。【雷の太刀】(峰打ち)」
————ッ!
何が峰打ちだ。
すごい痛いぞ!!
・・・でも、今の実力差を知ることができた。
それにここしばらくの目標もできた。
まずはコイツをぶっ倒す。
ここから始めるか。
・・・コイツはまあ、信用できるかな。
「何やら物騒なこと考えてる気がするけど、俺を倒すのは10年早いと言いたいね。・・・でも、稽古くらいなら付き合ってもいいよ?」
ホントに?!
じゃあ今度さっそくお願いしますか!!
「やれやれ。これは騒がしくなりそうだな」
「その割には、どこか楽しそう————ですね?」
「・・・君敬語なんて使える子だっけ?」
「失礼な。使えますよ」
私が信用できると値した人には・・・ね?
まぁ、信頼している人には普通の口調だけど。
「———それじゃあ、気が向いたら俺の屋敷に来てくれ。いつも相手できるわけじゃないけどね」
「はい!」
「・・・しっかし、君、珍しいね?」
「・・・?何がですか?」
「俺の顔見て何も言わないから」
・・・自意識過剰だな。
だって————
「————イケメンなのはわかりますけど、私そういうのにあまり興味ないので」
「あ、そう」
ふざけて言うことはあるけどね。
まぁ、それに—————恋愛はもうしないって決めたから。
***
「————まさか日も超えないで来るとは思わなかったけどね~」
「私もこうなるなんて思いもしませんでした・・・」
辺りはもうだいぶ夕暮れに近づき始め、そろそろ私も帰らなくてはならない時間になってしまった。
「それで、教えてもらえませんか?ミラさんとの関係性。とっと帰りたいんで」
「ひどいな。そうだねぇ・・・」
・・・二人の間で何かあったのか?
どうも二人の間で問題がありそうだ。
喧嘩したとかかな?
「・・・・・・申し訳ないけど、答えたくないかな」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます