リーゼ様からの手紙
「ナギお祭りの日から毎日楽しそうだけど、吹っ切れたのかね?」
『ナギとカイ左手の薬指におそろいの指輪付けているでしょう。カイが告白して、ナギもそれを受けたみたいなのよね。将来は結婚ってなりそう』
「そうなのかい。それは嬉しいね」
『ヴェンティ様も最初から解っていらっしゃったんだと思う。それに指輪を買いに行ったのはその場の思い付きだったんだけど、その指輪二人にあつらえたみたいにぴったりだったのよね。ヴェンティ様のお計らいかしらね』
「どちらにしてもナギが元気になったのはいいことだよ」エマは台所に視線を移す。ナギは一生懸命料理を作っていた。
「何話していたの、出来たわよ」
「こりゃおいしそうだ、いただこうかね」
『私も味見するわ』
三人は夕飯をいただいた。
「ずいぶん腕を上げたね、今度カイにも作ってあげなよ」
「もう少し上手になってから」少し顔を赤らめてナギは答えた。
それから数日後、カイが珍しく昼間から訪ねてきた。
「リーフ手伝え!」二人は大量の荷物を持ち込んだ。
「何?この荷物?」
「リーゼ様から預かってきた、テラ、インク、ペンだよ。それとリーゼ様が書いたテラ」
ナギはカイからテラを受け取った。それにはびっしり文字が書かれていた。ナギはゆっくりとそれを読むと、テラ、インク、ペンを取り出して、返事を書き始めた。
「これをリーゼ様に渡して」
「なんて書いてあったの?」
「リーゼ様からのテラにはテラ、インク、ペンの量産のめどが立ったこと。そしてこれから教育の為にどうしたらいいか相談したいと書かれていたわ。教育をどう進めるかは大体考えているから、近いうちにお越しくださいと書いてる」
「そうか、文字が書ければこうやってテラで意志のやり取りが出来るんだね。俺も勉強しないと」
「よかったら、私が教えるわよ」
「え!ナギ直々に?忙しくなるんじゃないの?」
「大丈夫、教育の事は昼間考えるわ。夕飯食べに来てそれからどうかしら?」
「ありがとう、これで毎日ナギに会いに来る口実が出来る」
「とにかく文字の読み書きが出来る人を増やして、民の教育はその後ね」
「解った、とにかくこのテラをリーゼ様に届けるよ。夕飯のころ又来る」
「待ってるわ」
カイはテラを持って城へと帰って行った。
「文字って私でも使えるのかね?」
「ええ、誰でも使えるわよ。エマも覚える?」
「そうしようかね。でも、お邪魔じゃないかい?」
「そんなことないわ」ナギは明るく答えた。
夕食の頃に戻って来たカイはリーゼが明後日来るということをナギに伝えた。
ナギは、教育に必要なことをテラにまとめ始めた。
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